企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第216号(2011.11.15)
D分野:個人型年金加入者のリタイアメント・プランニング

今回は,個人型年金のリタイアメント・プランニングをテーマとした問題です。拠出時及び給付時の税制の違い,係数利用の計算,個人型年金における運用のデメリットの理解がポイントになります。

《問1》の「解答・解説」

個人型年金加入した場合,加入者掛金については,その全額が,((1)小規模企業共済等掛金)控除の対象となり,所得控除を受けることができる。

また,給付段階において,分割(年金)払いの老齢給付金については,雑所得として((2)公的年金等)控除が適用され,一時金払いの老齢給付金については,((3)退職)所得控除)が適用される。死亡一時金については,相続税法上のみなし相続財産として相続税の課税対象となり,一定の範囲までは非課税となる。

個人型年金加入者掛金に係る小規模企業共済等掛金控除は,その全額が対象となります。これに対し,例えば,生命保険料控除は生命保険料全額が控除の対象というわけではありません。これは,個人型年金におけるメリットの一つといえるでしょう。

《解答》(1)小規模企業共済等掛金(2)公的年金等(3)退職


《問2》の「解答・解説」

係数利用に関する計算問題で,最もオーソドックスなものでした。

<拠出時>

毎月4万円(年間48万円)を15年間,年率2%で拠出しますので,60歳時点の元利合計は,年金終価係数を用いて,次の通りとなります。

480,000円×17.6393(2%,15年の年金終価係数)=8,466,864円→847万円…①

<据置時>

①の金額を65歳までの5年間,年率2%で据え置くことになりますので,65歳時点の元利合計は,終価係数を用いて,次の通りとなります。

 8,470,000円×1.1041(2%,5年の終価係数)=9,351,727円→935万円…②

<受取時>

②の金額を10年間,一定額ずつ取り崩すことになりますので,毎年の受取額は,年金現価係数を用いて,次の通りとなります。

 9,350,000円÷9.1622(2%,10年の年金現価係数)=1.020,497.260…円→102万円

したがって,毎年の個人型年金からの受取額は102万円となります。

《解答》102万円


《問3》の「解答・解説」

実は,2006年9月にも本質的に同じ問題が出題されています(本メルマガ第102号(2007.2.15)を参照して下さい)。なお,今回はデメリットのみを解答することに注意しましょう。

《解答例》選択可能な商品の数が限られている点

拠出可能な金額に制限がある点

60歳まで一切引き出すことができない点 など

いかがでしたでしょうか。《問3》のような問題は毎回出題されています。とはいえ,日頃から蓄積してきた知識の範囲内から出されますので,過度に萎縮する必要はありません。ただし,慣れておいた方がいいことは確かです。企業年金総合プランナー(DCプランナー)サポートホームページには,2006年頃の問題から収録されています。ぜひ活用して傾向を掴んで下さい。