企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第218号(2011.12.15)
C分野:投資信託の特徴と留意点「運用報告書」
D分野:年金に係る税金
今回は,C分野から運用報告書に関する問題,D分野から年金に係る税金,特に源泉徴収との関係を問う問題を取り上げます。
「運用報告書」に関しては,2006年と2009年にも出題されています。毎回,細かい知識を問う選択肢が紛れ込んでいるため,難易度は「やや難」といったところです。
1) 不適切:運用報告書は,受託者(信託銀行等)ではなく,投資信託委託会社が作成し,受益者(投資家等)に交付しなければなりません(投資信託及び投資法人に関する法律14条)。受託者(信託銀行等)は,投資信託財産の運用執行や投資信託財産の保管管理といった役割を担っています。
2) 不適切:計算期間が6ヵ月未満の投資信託財産の場合,6ヵ月ごとに作成・交付します(投資信託財産の計算に関する規則59条1項1号)。ちなみに、「計算期間が6ヵ月未満の投資信託財産」で代表的なものには、「毎月決算型ファンド」があります。
3) 適切:記述の通りです。どのような内容が盛り込まれているのか,実際に運用報告書を手にとってご覧になってみることを強く勧めます。
4) 不適切:これから受益証券(投資信託商品)を新規に取得する顧客に対しては,目論見書が交付されます(金融商品取引法15条2項本文)。なお,過去の運用実績は,目論見書にも記載されます。
《解答》 3)
公的年金等の所得区分は雑所得とされていますが,公的年金等に該当する年金については,通常,経済的稼得力が減退する局面にある人の生計手段とするために給付されるものであること等を考慮して,通常の雑所得とは異なった所得金額の計算方法が採用されています。このため,源泉徴収の方法についても,公的年金等の性質に即した仕組みとなっています。なお、公的年金等とは以下のものなどです。
(1) 国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金 (2) 過去の勤務により会社などから支払われる年金 (3) 外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で(1)に掲げる法律の規定による社会保険又は共済制度に類するもの
1) 適切:公的年金等の支払いをする者は,その支払いに際し,所得税を源泉徴収しなければなりません(所得税法203条の2)。ただし,支払われる年金の額(年額)が,158万円未満(65歳未満は108万円未満)の公的年金等については,その支払時に,所得税は源泉徴収されないことになっています(所得税法203条6号,所得税法施行令319条の12)。「公的年金等控除額」の最低額120万円未満(65歳未満は70万円)と混同しないように気をつけて下さい。
なお,受給者は,毎年6月に日本年金機構から葉書で送られてくる「年金振込通知書」を参照することで,源泉徴収額について確認することができます。
2) 適切:公的年金等の支払を受ける者は,原則として,「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出しなければなりません(所得税法203条の5)。この申告書は,毎年10月頃,日本年金機構から受給者宛に葉書で送られてきます。
この申告書を提出しないと源泉徴収の段階で受けることのできる人的控除等が受けられないこととなり,源泉徴収の際には支給金額の7.5%相当額の税額が徴収されることになります(所得税法203条の3)。
3) 適切:「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出した場合は,収入金額から一定の控除額を差し引いた額に対して5%を源泉徴収します(所得税法203条の3)。
4) 不適切:2)及び3)の肢からわかるように,「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出しない場合,提出した場合より多くの金額を納めていることになります。そこで,確定申告により納めすぎた所得税の一部を還付することで調整ができます。
《解答》4)
今年から1級試験は1月実施になりました。2010年10月の試験から1年以上ブランクがあり,モチベーション維持が大変だったと思います。あと少しです。やってきたことには自信を持って臨みましょう。吉報を待っています。