企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第230号(2012.6.15)
B分野:確定拠出年金

確定拠出年金の投資教育に関する問題です。投資教育については、2011年に成立した年金確保支援法に基づいて確定拠出年金法の改正が行われ、事業主に継続的な投資教育の実施義務があることが明文化されました。具体的に、どのような投資教育が求められるのか、法令解釈などでその内容を確認しておくと良いでしょう。

《問1》の「解答・解説」

1)法令解釈では、継続教育の実施において配慮すべき事項として、基本的な事項が習得できていない者に対しては、制度に対する関心を喚起するよう十分配慮しながら、基本的な事項の再教育を実施するように求められていますが、同時に、加入者等の知識及び経験等の差が拡大していることから、より高い知識及び経験を有する者にも対応できるメニューに配慮することが望ましいとされています。したがって、高度な投資教育の実施が禁止されているわけではありません。

2)法令解釈では、投資教育を行う際は、確定拠出年金法100条6号に定める禁止行為に該当しないように定められており、同号では、加入者等に対して、提示した運用の方法のうち特定のものについて指図を行うことだけでなく、指図を行わないことを勧めることも禁止しています。

3)自社株式や自社債券も運用商品として認められますが、その場合であっても、特定の運用商品を勧めることはできません。

4)運用プランモデルとは、老後までの期間や老後の目標資産額に応じて、どのような金融商品にどの程度の比率で資金を配分するかを例示したモデルのことですが、このモデルを示すときは、元本確保型の運用商品のみで運用する場合のモデルを提示しなければなりません。

《解答例》
1)×:均質な投資教育ではなく、加入者等の知識および経験等の差に対応した投資教育が望ましいとされており、設問のような教育も禁止されていない。
2)×:推奨、非推奨ともに禁止されている。
3)○
4)○


《問2》の「解答・解説」

法令解釈では、加入者等に提供すべき具体的な投資教育の内容として、「確定拠出年金制度等の具体的な内容」、「金融商品の仕組みと特徴」、「資産の運用の基礎知識」が挙げられています。

「金融商品の仕組みと特徴」では、具体的には、預貯金、信託商品、投資信託、債券、株式、保険商品等それぞれの金融商品について、以下の事項を提供するように定められています。

《解答例》 (下記の趣旨等から3つ)
・性格または特徴
・種類
・期待できるリターン
・考えられるリスク
・投資信託、債券、株式等の有価証券や変額保険等については、価格に影響を与える要因


《問3》の「解答・解説」

《問2》の「解答・解説」で示したように、法令解釈では、加入者等に提供すべき具体的な投資教育の内容が定められており、そのうちの一つが「資産の運用の基礎知識」です。

具体的には、以下の事項について提供することになっています。

《解答例》 (下記の趣旨等から3つ)
・資産の運用を行うにあたっての留意点(金融商品の仕組みや特徴を十分認識したうえで運用する必要があること)
・リスクの種類と内容(金利リスク、為替リスク、信用リスク、価格変動リスク、インフレリスク等)
・リスクとリターンの関係
・長期運用の考え方とその効果
・分散投資の考え方とその効果