企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第236号(2012.9.15)
C分野:ポートフォリオのリターン及びリスク計算

今回からC・D分野の問題です。C分野の一回目は,リスクとリターンの計算に正規分布を絡めた問題です。昨年も類似した問題が出題されており、慎重に計算を進めてほぼ満点を獲得すべきところです。

《問1》の「解答・解説」

算術平均及び幾何平均は応用編でも出題されるようになってきました。計算式は次のとおりになります。

<商品Aの算術平均>

(3.5%-0.6%+4.9%+2.2%)÷4=2.5%

<商品Bの幾何平均>

[{(1+0.042)×(1-0.018)×(1+0.028)×(1+0.056)}]の4乗根 - 1
=0.026118… →2.6618…% →2.7%(小数第1位未満四捨五入)

なお,4乗根を求めるときは,電卓の√キーを連続2回打ちます。

<答> 商品A:2.5%  商品B:2.7%


《問2》の「解答・解説」

まずはポートフォリオの期待リターンとリスクを求めます。計算式は次のとおりです。

 期待リターン=0.6×2.5%+0.4×3.0%=2.7%
分散=0.6×0.6×3.5×3.5+0.4×0.4×4.5×4.5+2×0.5×0.6×0.4×3.5×4.5
=11.43 ∴標準偏差=3.3808… → 3.4%(小数点第1位未満四捨五入)

次に、ポートフォリオのリターンが正規分布に従っていると仮定した場合,下記のことがいえます。

リスクが1標準偏差以内の確率は約68%
リスクが2標準偏差以内の確率は約95%

本問は約68%の確率で収まる場合ですので,リスクが1標準偏差以内と考えます。これを踏まえて,1年後にそのリターンが約68%の確率で収まる利回りの範囲は,

期待リターン±1標準偏差=2.7%±1×3.4%

となります。

従って,
下限は,2.7%ー3.4%=▲0.7%
上限は,2.7%+3.4%=6.1%
ということになります。

<答> ▲0.7%~6.1%


《問3》の「解答・解説」

シナリオごとの生起確率に基づいてポートフォリオのリスク・リターンを求める問題です。最近は出題されていなかったため(2005年9月以来です),戸惑った方もおられたかもしれません。期待リターンは,各シナリオの生起確率を加重平均して,次の通り求めます。

期待リターン=0.3×7.0%+0.4×2.5%+0.3×▲1.5%=2.65%→2.7%

リスクは,(各シナリオの予想収益率-期待リターン)を2乗したものを,生起確率で加重平均して求めます。計算式は次のとおりです。

分散=0.3×(7.0%-2.7%)の2乗
+0.4×(2.5%-2.7%)の2乗
+0.3×(▲1.5%-2.7%)の2乗
=10.855
∴標準偏差=3.2946… → 3.3%(小数点第1位未満四捨五入)

<答> 期待リターン:2.7% 標準偏差(リスク):3.3%

《問3》の標準偏差(リスク)以外は是非とも完答してほしい問題でした。解いてみて気付かれたかと思われますが、この問題は2011年度応用編問題の【第3問】の類題になっています。「二度と同じ問題は出ないのだから,過去問は一応目を通すだけ」という方は猛省を促しておきます。老齢厚生年金と国民年金基金についての問題です。わが国の年金制度は、公的年金として国民年金や厚生年金保険があり、その上乗せとして国民年金基金や確定拠出年金があることを理解して、各制度について覚えると良いでしょう。