企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第238号(2012.10.15)
C分野:投資信託のパフォーマンス評価
今回はパフォーマンス評価からの出題です。時間加重収益率と金額加重収益率の相違点は、この問題文によく纏められていますので,穴埋め部分だけでなく,一度文章全体にも目を通していただきたいところです。シャープ・レシオ及びインフォメーション・レシオは使う数値を誤らないように注意して下さい。
ちょっと厳しいかもしれませんが,合格のためには今回も満点近い解答が望まれます。
穴埋め部分に入る語句等は,下記のとおりです。
投資信託の運用においては,資金の追加あるいは引出しをファンドマ
ネージャーがコントロールできないのが通常である。したがって,投資
信託のパフォーマンス評価において,途中のキャッシュフローの変化に
影響されない運用能力を図る場合には,一般に,リターンとして,金額
加重(財産加重)収益率ではなく,((1)時間加重 )収益率が用い
られる。
リターンを評価する場合にも,絶対リターンだけをみるのは,妥当と
はいえない。なぜなら,絶対リターンが高くても,それは高いリスクを
とった結果であるにすぎないこともあるからである。したがって,リタ
ーンの評価については,一般に,リスクも加味した((2)リスク調整
後 )リターンが用いられる。
また,過去のパフォーマンスが良好であったとしても,それが将来に
わたって持続する保証はない。したがって,良好なパフォーマンスの持
続性(再現性)を判断するために,定量評価するだけでなく,
((3)定性 )評価を併用するべきであるといわれている。
<答> (1)時間加重 (2)リスク調整後 (3)定性
まず,シャープ・レシオの定義は次のとおりです。
シャープ・レシオ=(トータル・リターン - リスクフリーレート)÷標準偏差(リスク)
リスクフリーレートは「無リスク金利」「安全資産の利子率」と表現する場合もあります。
(最近のDCプランナー試験では、「リスクフリーレート」が比較的定着していますが)
なお,リスクフリーレートは,<設例>の末尾に記述されています。
各投資信託のシャープ・レシオは次のとおりになります。
(小数点第2位未満四捨五入)
A:(4.6%-0.1%)÷.5.5%=0.8181…→0.82
B:(6.8%-0.1%)÷.5.9%=1.1355…→1.14
C:(3.7%-0.1%)÷.4.2%=0.8571…→0.86
つまり,「Aに20%,Bに50%,Cに30%」というポートフォリオの期待リターンを求めればよいことになります。期待リターンは次のとおりになります。
0.2×4.6%+0.5×6.8%+0.3×3.7%=5.43%
<答> 5.43%
インフォメーション・レシオの定義は次のとおりです。
インフォメーション・レシオ
=(トータル・リターン - ベンチマーク・リターン)÷トラッキング・エラー
「トラッキング・エラー」は「アクティブ・リスク」と表現する場合もあります。試験では,これらのいずれかで出題されますから,注意して下さい。
各投資信託のインフォメーション・レシオは次のとおりとなります。
(小数点第2位未満四捨五入)
A:(4.6%-4.3%)÷.0.7%=0.4285…→0.43
B:(6.8%-6.6%)÷.1.1%=0.1818…→0.18
C:(3.7%-3.2%)÷.0.9%=0.5555…→0.56
したがって、インフォメーション・レシオが最も高い投資信託は,Cになります。
<答>投資信託C
シャープ・レシオ及びインフォメーション・レシオはほぼ毎回出題されています。公式が頭に入っていればあとは計算を実行するのみです。是非得点源にして下さい。解説にも書きましたが、別の表現がされる用語もありますので、覚えておきましょう。