企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第252号(2013.5.15)
AB分野:退職給付会計・確定拠出年金
退職給付会計における簡便法に関する問題です。適用範囲や各項目の計算方法について理解しておきましょう。
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簡便法とは、従業員数が比較的少ない小規模企業等において認められている、退職給付引当金及び退職給付費用の計算方法のことです。
簡便法を採用できる小規模企業等とは、原則として従業員数300人未満の企業のことです。ただし、従業員が300人以上であっても、ベンチャー企業等、年齢や勤務期間に偏りがあり、数理計算の信頼性に疑問が生じると判断される場合などは、簡便法を採用することができます。
また、採用の可否は制度ごとに判断されるため、親会社が原則法を採用している連結子会社でも、従業員数が300人未満であれば、簡便法を採用することができます。
(注:平成24年5月17日公表の企業会計基準委員会「退職給付に関する会計基準」および「退職給付に関する会計基準の運用指針」によって、平成25年4月1日以後開始する事業年度の年度末に係る財務諸表から、「退職給付引当金」は「退職給付に係る負債」に変更されました。ただし、個別財務諸表においては、当面の間「退職給付引当金」を使用します。)
《解答》 ①300 ②できる
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未認識債務とは、退職給付債務のうち、年金資産や退職給付引当金による手当てがまだなされていない部分のことです。発生原因によって「数理計算上の差異」「過去勤務債務」「会計基準変更時差異」の3つから構成されます。
未認識債務は、将来にわたり規則的に費用処理すること(遅延認識)ができますが、簡便法で認められているのは、会計基準変更時差異のみです。
(注:平成24年5月17日公表の企業会計基準委員会「退職給付に関する会計基準」および「退職給付に関する会計基準の運用指針」によって、平成25年4月1日以後開始する事業年度の年度末に係る財務諸表から、「過去勤務債務」は「過去勤務費用」に変更されました。)
《解答》 A (未認識)数理計算上の差異 B (未認識)過去勤務債務
C 会計基準変更時差異(の未処理額) D 会計基準変更時差異(の未処理額)
(A・B・Cについては順不同)
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退職給付会計において、年金資産と未認識債務を合計した金額が退職給付債務を上回った場合の当該超過額を「前払年金費用」といい、企業年金を設立している企業の貸借対照表に資産として計上されます。
前払年金費用と各項目との関係を式で表すと
前払年金費用=年金資産+未認識債務-退職給付債務となります。
(注:平成24年5月17日公表の企業会計基準委員会「退職給付に関する会計基準」および「退職給付に関する会計基準の運用指針」によって、平成25年4月1日以後開始する事業年度の年度末に係る財務諸表から、「前払年金費用」は「退職給付に係る資産」に変更されました。ただし、個別財務諸表においては、当面の間「前払年金費用」を使用します。)
《解答例》
①(計算過程) 未認識債務=退職給付債務-年金資産+前払年金費用
未認識債務=140-130+20=30
30百万円
②(計算過程) 前払年金費用=年金資産+未認識債務-退職給付債務
前払年金費用=290+50-300=40
40百万円