1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)認定試験 答案練習
~2017年度試験対策・第5回~
■企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第356号
(2017.9.15)掲載
C分野:投資に関する知識
答案練習は第5回からC分野及びD分野を取り上げていきます。まずは応用編で
出された問題なのですが、「累積リターン」「複利リターン」「組入れ商品間の相
関関係とポートフォリオのリスク」等を正しく理解しているか、実例を使って問う
形になっています。
問題をパッと見たとき、そのボリュームに圧倒されそうになりますが、計算結果
を求めているのではなく、どちらかというと「結果を求めるまでのプロセスを投資
家に説明する」ことを主眼に問題が作られています。そのため実際は、問題量の割
には計算すべき量はさほど多くありません。それではひとつひとつ見ていきましょ
う。
《問1》の「解答・解説」
3カ月前に100円投資したと仮定して時系列分析してみましょう。
3カ月前
100円 (1+1.02%)
2カ月前
101.02円 (1-2.42%)
1カ月前
98.57・・・円 (1-8.91%)
現在
89.79…円
ご覧のとおり、100円が3カ月後には10.21円下落して時価89.79…円に変化して
います。つまり変化率は-10.21%ですね。Aさんが上のように計算すれば、おそら
く間違えなかったでしょう。彼の考えた計算式は、再投資を考慮していないため、
間違いなのです。
このように3カ月間再投資した場合の累積リターンは、正解のように
(1-0.0891)×(1-0.0242)×(1+0.0102)-1
という形で求めます。
《解答》 ×
(計算式) (1-0.0891)×(1-0.0242)×(1+0.0102)-1
《問2》の「解答・解説」
(1)Aさんは毎月拠出で複利運用していますから、Aさんの考えた方法ではなく、
金額加重収益率を求めて利回りを計算すべきです。
(2)投資家の年齢や運用環境の変化に伴って配分割合を変更する機会は訪れるも
のです。本問のように「確定拠出年金お取引状況のお知らせ」の書類が届い
たタイミングはまさにその機会のひとつでしょう。しかし、確定拠出年金は
短期で大きな収益獲得を目的とする商品ではありませんから、みだりに配分
変更してしまうと長期定額購入による効果が薄まる、という問題点がありま
す。なので、長期運用をふまえて十分な検討が必要であると考えられます。
《解答》
(1) × (理由) Aさんの運用は、毎月拠出で複利運用しているため、Aさん
の考えた計算式では正しい利回りを計算できない。
(2) ○
《問3》の「解答・解説」
(1)性質の同じ金融商品ごとに比較して、現在保有している投資信託商品の
シャープ・レシオが一番高い、ということなのでそのまま投資を継続す
るという方向性は適切です。
(2)Aさんの意見では相関係数の影響が考慮されていません。相関係数が
1の場合、ファンドのリスクは各金融資産のリスクの加重平均となり
Aさんの出した解と一致し、これがファンドリスクの最大値です。
実際には、リスク・リターン特性の異なる金融資産の組み合わせで構
成されるファンドのリスクは、投資した各金融資産のリスクの加重平
均を下回ります。各金融資産間の相関係数が1以下であるためです。
(3)4つの投資信託商品に同額配分した場合、ポートフォリオの期待リタ
ーンは下記のようになります。
3.53%×1/4+2.63%×1/4+4.53%×1/4+5.31%×1/4=4%
したがって合理性ありと判断できます。
(4)リバランスは、ファンドを構成する各資産の運用状況の違いにより、
資産残高割合がアセットミックス(配分割合)からかい離したとき行
います。「1年に1回、定期的に行う」、というように年間の回数が
決められているものではありません。
《解答》
(1)○
(2)× (理由) 仮に、相関係数が1 の場合、ファンドのリスクは、構成する各金
融資産のリスクの加重平均となり、<資料>から13.285%でリス
クは最大となる。したがって、実際のリスクが13.285%になるこ
とはない。
(3)○
(4)× (理由) リバランスは、ファンドを構成する各資産の運用状況の相違によ
り、残高割合が配分割合からかい離したときにその程度をみなが
ら行うもので、1年に1回というように一定のタイミングで行う
ものではない。