企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第256号(2013.7.15)
А分野:わが国の年金制度

老齢基礎年金の繰上げ支給・繰下げ支給と中小企業退職金共済制度に関する問題です。制度の概要を理解することに加え、具体的な事例で正誤を判断できるようにしておきましょう。

——————————————————————

《問1》の「解答・解説」

 老齢基礎年金の繰上げ支給・繰下げ支給に関する問題です。今年度60歳になる男性から、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が61歳以降に引き上げられるので、老齢厚生年金の繰上げ支給との関係も理解しておく必要があります。

1)適切 昭和28年4月2日~昭和36年4月1日生まれの男性(女性は5年遅れ)は、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢に達する前に、老齢厚生年金(報酬比例部分)の繰上げの請求をすることができますが、この繰上げ請求をする場合は、老齢基礎年金の繰上げ請求を同時にしなければなりません。

2)適切 老齢基礎年金の一部繰上げをすると、65歳以降は、一部繰上げの老齢基礎年金に老齢基礎年金の加算額が加算されます。なお、老齢基礎年金の一部繰上げを請求できるのは、昭和16年4月2日から平成24年4月1日生まれ(女性は5年遅れ)の者です。

3)不適切 66歳に達した日以後に、遺族厚生年金の受給権を取得した場合は、遺族厚生年金の受給権発生時点の増額率で繰下げ支給を請求することができます。なお、66歳に達する前に遺族厚生年金の受給権が発生した場合は、繰下げ請求をすることはできません。

4)適切 昭和16年4月2日生以後生まれの者の繰下げ増額率は、繰下げる月数(65歳に達した月から繰下げ申し出月の前月までの月数)×0.7%となり、70歳で繰り下げた場合の42%が最高となります。

《解答》  3)

——————————————————————

《問2》の「解答・解説」

 中小企業退職金共済(中退共)制度の加入要件に関する問題です。企業規模だけでなく、除外できる従業員や重複加入の可否など、複数の項目における要件をしっかりと覚えましょう。

1)不適切 製造業や建設業などの一般業種の加入要件は、常用従業員数300人以下、または、資本金・出資金3億円以下です。

2)適切 原則として従業員全員を被共済者にする必要がありますが、試用期間中の従業員、定年などで短期間のうちに退職することが明らかな従業員は、被共済者にしなくても良いことになっています。その他、期間を定めて雇用される従業員、季節的業務に雇用される従業員、短時間労働者、休職期間中の者、被共済者になることに反対の意思を表明した従業員も、被共済者にしないことが認められています。

3)適切 平成23年1月から、事業主と生計を一にする同居の親族のみを雇用する事業所の従業員も加入できることになりました。ただし、新規加入助成および月額変更助成の対象にはなりません。

4)適切 企業として、中小企業退職金共済(中退共)制度と特定業種(建設業・清酒製造業・林業)退職金共済制度の両制度に加入することはできますが、同一の従業員が両制度に加入することはできません。

《解答》  1)