企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第260号(2013.9.15)
C分野:リターンとリスクの計算

今回からC分野の問題です。オーソドックスなリターン・リスクの計算問題ですので、慎重に得点していきましょう。

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《問1》の「解答・解説」

(1)商品Aについて、4年間の幾何平均リターン(年率)を計算すると、次のとおりになります。

 (1+0.12)×(1-0.05)×(1+0.1)×(1+0.04)=1.217216
1.217216の4乗根-1=0.050369…→5.0%

(2)これまでの学習過程の中で、リターンの標準偏差を求める機会はあまりなかった、という方もおられるかもしれません。まず簡単に導出方法を説明します。 まず偏差を求めます。偏差とは、この場合、各期のリターンから平均リターン((1)で算出)したものです。
このままだと±符号の解釈が複雑になるため、偏差を2乗します(数学上のテクニックです)。
偏差の2乗の総和が、この問題でいえば4年間のリスクの総和となります。
最後に期間(4年)で割り算することで、年率ベースでのリスクの値が算出されます。

上記に基づいて、商品Aについて、①で算出したリターンに基づく標準偏差(リスク)を計算すると、次のとおりになります。

(12%-5%)×(12%-5%)
+(▲5%-5%)×(▲5%-5%)
+(10%-5%)×(10%-5%)
+(4%-5%)×(4%-5%)
=175
175÷4=43.75
43.75の平方根=6.6143…→6.6%

《解答例》(1)5.0% (2)6.6%

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《問2》の「解答・解説」

投資期間中にキャッシュフローが発生する場合の時間加重収益率を求める問題です。 このような場合、問題文の表を下記のとおりうまく加工して解くと、混乱せずに解き進めることができるでしょう。

1年目 2年目 3年目 4年目
 年初時価 220万円 240万円 270万円 280万円
 資金追加額 20万円 30万円 30万円
 追加後年初 220万円 260万円 300万円 310万円
 年末時価 240万円 270万円 280万円 320万円

実際の計算の過程では、作った表の下2行のデータのみ使います。計算式は、下記のとおりになります。

{(240万円÷220万円)×(270万円÷260万円)×(280万円÷300万円)×(320万円÷310万円)}の4乗根-1 =0.02217…→2.2%

《解答例》 2.2%

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《問3》の「解答・解説」

まず商品Aに70%,商品Bに30%投資するポートフォリオの期待リターンとその標準偏差を計算します。下記のとおりになります。

期待リターン=4.5%×0.7+2.5%×0.3=3.9%
リスク(分散)=0.7×0.7×5.5×5.5+0.3×0.3×3.0×3.0+2×0.7×0.3×0.1×5.5×3.0
=16.3255 ∴標準偏差=4.040…→4.0%

求めるのは、1年後にそのリターンが約95%の確率で収まる利回りの範囲です。これは、期待リターンが±2標準偏差で収まる範囲を求めることになりますから、次のとおりになります。

3.9%±4.0%×2 すなわち ▲4.1%~11.9%

《解答例》▲4.1%~11.9%