企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第266号(2013.12.15)
C分野:相関係数
D分野:遺言
今回は,C分野から相関係数に関する計算問題,D分野から遺言に関する問題を取り上げます。
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最近,この相関係数を求める問題がよく出されます(2009年10月,2012年)。苦手な方も多いことから,昨年に引き続き取り上げたいと思います。
相関係数を求める式は,次のとおりです。
AとBの相関係数 | = | AとBの共分散 |
Aの標準偏差×Bの標準偏差 |
相関係数を出すためには,まず共分散を求める必要があります。共分散を求める式は,次のとおりです。
AとBの共分散 =
{(Aの実績リターン-Aの期待リターン)×(Bの実績リターン-Bの期待リターン)}の合計 |
観察期間 |
では,上の式に数値をあてはめていきましょう。まずは国内株式(A)と,国内事業債(B)それぞれの平均リターンを求めます。
Aの平均リターン=(10%+(-5%)+4%)÷3=3%
Bの平均リターン=(1%+4%+(-2%))÷3=1%
つぎに共分散の分子,つまり
{(Aの実績リターン - Aの期待リターン)×(Bの実績リターン - Bの期待リターン)}の合計の部分を計算します。表形式で示すと次のとおりになります。
期 間 | 国内株式(A)の 実績リターン-期待リターン |
国内事業債(B)の 実績リターン-期待リターン |
(A)×(B) |
第1期 | 10%-3%=7% | 1%-1%=0% | 0 |
第2期 | -5%-3%=-8% | 4%-1%=3% | -24 |
第3期 | 4%-3%=1% | -2%-1%=-3% | -3 |
合 計 | -27 |
従って,共分散=-27÷3年=-9となります。
標準偏差はこの問題で既に与えられていますので,そのまま代入します。よって,相関係数は次のとおりになります。
相関係数=-9÷(6.16×2.45)≒-0.60
《解答》1
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《問2》の「解答・解説」
遺言に関する問題です。DCプランナー試験開始以来,毎回ではありませんが1~2回おきに出題されることが多いようです。基本的には,民法第五編(相続)のうち第七章(遺言)から数多く出題されます。具体的には 民法960条から1044条までとなります。一度目を通しておかれたほうがよいでしょう。民法の該当条文番号も付して解説いたします。
1)適切:遺言は,自筆証書,公正証書又は秘密証書によってしなければなりません(967条前段)。三方式から遺言者が選択します。なお,これら方式が困難な場合,特別の方式によることもできます(967条後段,976条~979条)。
2)適切:15歳に達した者は,遺言をすることができます(961条)。ちなみに,満15歳以上であれば,その人が被保佐人や被補助人であっても遺言をすることが出来ます(962条)遺言者は,遺言をする時においてその能力を有しなければなりません(963条)。
3)適切:遺言書の保管者は,相続の開始を知った後,遅滞なく,これを家庭裁判所に提出して,その検認を請求しなければなりません(1004条1項)。なお,この規定は公正証書遺言については,適用しません(1044条2項)。
4)不適切:自筆証書遺言では,遺言者が,その全文,日付及び氏名を自書し,押印しなければなりません(968条1項)。補足すると,自筆証書中の加除その他の変更は,遺言者が,その場所を指示し,これを変更した旨を付記して特にこれに署名し,かつ,その変更の場所に印を押さなければ,その効力を生じません(968条2項)。
《解答》>4
試験まであと1か月となりました。2013年1月の試験を振り返ってみますと、高い計算処理能力を求める問題が目についたようです。参考書に目を通して公式を暗記したら終わりというのではなく、実際に手を動かしていくことを心がけておきましょう。皆様の吉報を待っています。