企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第276号(2014.5.15)
B分野:確定拠出年金

確定拠出年金の企業型年金規約に関する問題です。作成や申請手続などについて、確定拠出年金法の条文の内容も含めて理解しておきましょう。

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《問1》の「解答・解説」

確定拠出年金の企業型年金の規約の承認の申請に際して必要な添付書類に関する問題です。実務の経験がない人にとっては馴染みがないかもしれませんが、本問の場合は、以下のように、確定拠出年金の企業型年金の実施要件や制度の仕組みを理解していれば、正解を導くことができるでしょう。
(1) 確定拠出年金の企業型年金を実施する際は、被用者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合か、そのような労働組合がない場合は、被用者年金被保険者等の過半数を代表する者の同意が必要です。なお、被用者年金とは民間企業や官公庁等に雇用されている人が加入する年金制度のことで、企業型年金の場合は厚生年金保険および私立学校教職員共済制度が対象となります。
(2) 事業主は、運営管理業務を確定拠出年金運営管理機関に委託することができますが、その場合は、契約に関する書類を提出する必要があります。
(3) 退職金や企業年金を実施する場合は、労働基準法第89条の定めにより、就業規則(給与規程)に、適用される従業員の範囲や給付額の計算や支給方法について定めなければなりません。

《解答》(1) 被用者年金被保険者 (2) 運営管理機関 (3)給与(賃金)

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《問2》の「解答・解説」

確定拠出年金の企業型年金の規約に定める事項に関する問題です。問題文に「確定拠出年金法第3条」に具体的に挙げられている事項という制約があるので、戸惑った人も少なくないと思われます。運営管理機関、資産管理機関、一定の加入資格、掛金、給付、など制度内容について理解した上で、確定拠出年金法の条文を見ておくと良いでしょう。
なお、確定拠出年金法第3条に挙げられている具体的事項は下記のとおりですが、政令で定める事項には、投資教育の内容、他の企業年金や退職一時金制度からの資産の移換に関する事項、企業型年金の事業年度に関する事項などがあります。

《解答例》以下から5つ
(1)(企業型年金を実施する厚生年金適用事業所の)事業主の名称および住所
(2)(企業型年金が実施される厚生年金適用)事業所の名称および所在地
(3) 事業主が運営管理業務(の全部または一部)を行う場合はその行う業務(事業主が行う運営業務)
(4)(事業主が運営管理業務の全部または一部を委託した場合には、当該(委託を受けた確定拠出年金)運営管理機関の名称及び住所ならびに委託する(その行う)業務
(5) 資産管理機関の名称および住所
(6)(実施事業所に使用される従業員(被用者年金被保険者等)が企業型年金の加入者となることについて)一定の資格を定める場合は、一定の資格に関する事項
(7) 事業主(が拠出する)掛金の(額の)算定方法(に関する事項)
(8) 企業型年金加入者が掛金を拠出する場合は(企業型年金加入者掛金)、その掛金の額の決定または変更の方法その他その拠出に関する事項
(9) 運用の方法の提示および運用の指図に関する事項
(10) 企業型年金の給付の額およびその支払の方法に関する事項
(11)(短期勤続従業員に係る)事業主掛金(相当額)の返還する資産の額の算定方法に関する事項
(12)企業型年金の実施に要する事務費の負担に関する事項

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《問3》の「解答・解説」

確定拠出年金の企業型年金の規約の変更に関する問題です。各選択肢のポイントは以下のとおりです。
(1) 規約を変更するときは、厚生労働省令で定める軽微な変更を除いて、厚生労働大臣の承認を受けなければなりません。また、承認の申請をするときは、被用者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合か、そのような労働組合がない場合は、被用者年金被保険者等の過半数を代表する者の同意を得なければなりません。
(2) 事業主掛金の額の算定方法の変更は、厚生労働省令で定める軽微な変更に該当しないため、厚生労働大臣の承認が必要です。承認申請の提出先は、事業所を管轄する厚生(支)局であり、標準処理期間は2カ月です。
(3) 企業型年金加入者掛金の額は年1回に限り変更することができます。ただし、事業主掛金の引下げによって企業型年金加入者掛金の額を引き下げる必要がある場合の変更は、この1回には含まれません。

《解答》
(1) ○
(2) ×:承認申請等についての標準処理期間は2カ月であるため、X社は、規約の施行日のおおむね2カ月前までに申請を行わなければならない。
(3) ×:加入者掛金の変更は、年1回に限り可能である。