企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第280号(2014.7.15)
A分野:わが国の年金制度・退職給付制度

国民年金の繰上げ支給・繰下げ支給および国民年金基金の加入資格についての問題です。選択肢の中には具体的な事例に基づいて正誤を判断させるものもあるので、十分な理解が求められます。

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《問1》の「解答・解説」

 老齢基礎年金の繰上げ支給、繰り下げ支給に関する問題です。繰上げによる減額率、繰下げによる増額率を中心に、一部繰上げの対象者なども覚えておきましょう。

1)適切 生年月日が昭和16年4月2日以降の者の繰上げ支給による減額率は、0.5%×繰上げ月数です。したがって、63歳到達月に繰上げ支給を請求した場合の減額率は、0.5%×24=12%で、受給できるのは満額の88%に相当する額となります。

2)適切 老齢基礎年金の一部繰上げができるのは、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が61歳~64歳に段階的に引き上げられる者です。男性の場合は、生年月日が昭和16年4月2日~昭和24年4月1日の者、女性の場合は、生年月日が昭和21年4月2日~昭和29年4月1日の者です。したがって、選択肢に記述されている昭和29年1月10日生まれの女性は、全部繰上げと一部繰上げのいずれかを選択することができます。

3)不適切 老齢基礎年金の繰下げ支給による増額率は、0.7%×繰下げ月数ですが、増額率は42%が上限です。したがって、選択肢の記述のように70歳2か月で繰下げ支給の申出をしても、増額率は42%となります。なお、この場合、従来は申し出をした月の翌月分から増額された年金が支給されていましたが、平成26年4月から、70歳到月の翌月分から、さかのぼって支給されるようになりました。

4)適切 繰下げをしても、振替加算は増額されません。また、繰下げ待機期間中に、振替加算のみを受け取ることもできません。

《解答》  3)

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《問2》の「解答・解説」

 国民年金基金の加入資格に関する問題です。加入対象者だけでなく、申し込み先や資格喪失日なども確認しておきましょう。

1)適切 平成25年4月1日から、国民年金基金の加入対象者が拡大され、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している者も、国民年金基金に加入できるようになりました。

2)適切 国民年金基金への加入は、選択肢1)の記述にあるように、住所地の地域型基金又は従事する事業もしくは業務にかかる職能型基金に申し出ることによって加入員となるのが原則ですが、基金からの申出の受理に関する業務の委託を受けた生命保険会社や信託銀行を通じて加入することもできます。

3)適切 第1号被保険者の資格を喪失したときは、その日に加入員の資格を喪失します。

4)不適切 国民年金の保険料の学生納付特例制度の適用を受け、保険料を納付することを要しないものとされたときは、保険料を納付することを要しないものとされた月の初日に加入員の資格を喪失します。

《解答》  4)