1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)認定試験 答案練習 
~2016年度試験対策・第4回~

■企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第330号(2016.8.15)掲載
 A分野: わが国の年金制度

 中小企業退職金共済および小規模企業共済に関する問題です。ともに頻出項目なので、基本的な事項については確実に覚える必要があります。同時に、近年は、正誤の判断が難しい選択肢も増えているので、より詳細な内容や改正事項などについても確認しておくようにしましょう。

《問1》の「解答・解説」
 中小企業退職金共済の加入要件に関する問題です。本問の場合は、選択肢1)が分かれば正答を導けますが、他の選択肢についてもしっかり理解することが重要です。

1)不適切  中小企業退職金共済に加入できるのは、業種によって定められた常用従業員数、または
       資本金・出資金の額が一定以下である中小企業者であり、両方を満たさなくても加入で
       きます。なお、小売業の場合、常用従業員数の要件が50人以下、資本金・出資金の額の
       要件が5,000万円以下である点は正しい記述です(中小企業退職金共済法第2条)。

2)適 切  中小企業退職金共済では、原則として雇用している従業員全員を被共済者として加入さ
       せることになっていますが、期間を定めて雇用される者、季節的業務に雇用される者、
       試用期間中の者、短時間労働者、休職期間中の者などは、加入させなくても良いことに
       なっています(中小企業退職金共済法第3条、同法施行規則第2条)。

3)適 切  事業主と使用関係が認められれば、中小企業退職金共済法上の「従業員」として取り扱
       われ、加入することができます。なお、従来は、中小企業退職金共済法上の「従業員」
       は、労働基準法上の労働者の範囲と同様に取り扱われていたため、事業主と生計を同一
       にする同居の親族のみを雇用する事業主に雇用される者は、中小企業退職金共済に加入
       できませんでしたが、平成23年1月1日より、これらの者も使用関係が認められれば加
       入することができるようになりました(平成22年11月12日基発1112第2号)。

4)適 切  使用人兼務役員を除く役員は、事業主との間に使用関係が認められないため、中小企業
       退職金共済に加入することはできません。

《解答》 1)



《問2》の「解答・解説」
 小規模企業共済の加入対象者に関する問題です。中小企業退職金共済との違いにも留意しながら覚え、問題を解く際に混同しないようにしましょう。

1)不適切  商業(卸売業、小売業)を営む場合、個人事業主または会社役員が小規模企業共済に加
       入できるのは、常時使用する従業員の数が5人以下の場合です。個人事業主、会社役員
       の場合、常時使用する従業員の人数要件は、商業(卸売業、小売業)、サービス業(宿
       泊業、娯楽業を除く)が5人以下で、それ以外は20人以下となります(小規模企業共済
       法第2条、同法施行令第1条)。

2)適 切  企業組合や協業組合の役員も要件を満たせば小規模企業共済に加入することができ、そ
       の場合の事業に従事する組合員、常時使用する従業員の人数要件は20人以下です(小規
       模企業共済法第2条、同法施行令第1条)。

3)適 切  平成23年1月1日より、中小企業退職金共済の被共済者は、小規模企業共済と重複して
       共済契約を締結できないことが、法律上明記されました(小規模企業共済法第3条、同
       法施行規則第1条の2)。

4)適 切  平成23年1月1日より、個人事業主1人につき2人まで「共同経営者」も小規模企業共
       済に加入できるようになりました(小規模企業共済法第2条、同法施行規則第1条)。
       なお、共同経営者とは、個人事業主とともに経営に携わっている者で、(1)事業の経営
       において重要な意思決定をしている、または事業に必要な資金を負担している者、
       (2) 事業の執行に対する報酬を受けていることの要件をともに満たす者、のことです。

《解答》 1)