1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)認定試験 答案練習
~2016年度試験対策・第3回~
■企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第328号(2016.7.15)掲載
A分野: わが国の年金制度
公的年金の繰上げ支給および繰下げ支給、遺族年金に関する問題です。正誤の判断が難しい選択肢もありますので、基本的な事項に関する選択肢を確実に判断できるようにすることが重要です。
《問1》の「解答・解説」
老齢基礎年金の繰上げ支給および繰下げ支給に関する問題です。繰り上げ・繰下げの仕組みを理解しているだけでなく、生年月日などの前提条件を当てはめて、正誤を判断できるかがポイントとなります。
1)不適切 老齢厚生年金の繰上げ支給を請求できるのは、特別支給の老齢厚生年金
の支給開始年齢が61歳以降に引き上げられる者、および特別支給の老齢
厚生年金が支給されず65歳から老齢厚生年金が支給される者であり、男
性は生年月日が昭和28年4月2日以降、女性は生年月日が昭和33年4月
2日以降の者が該当します。したがって、昭和31年2月3日生まれの女
性は、老齢厚生年金の繰上げ支給を請求することはできません(厚生年
金保険法附則第7条の3、第13条の4)。なお、老齢厚生年金の繰上げ
支給を請求できる者が、老齢基礎年金の繰上げ支給を請求する場合は老
齢厚生年金の繰上げ支給を同時に請求しなければならないのは、記述の
通りです。
2)不適切 老齢基礎年金の繰上げ支給を請求しても、振替加算は減額されずに65歳
から加算されます(国民年金法昭和60年改正法附則第14条)。
なお、振替加算の対象となるのは、生年月日が大正15年4月2日から昭
和41年4月1日までの者であるため、昭和30年2月10日生まれの女性は
振替加算の対象となります。
3)不適切 男性の生年月日および支給繰下げの申出をした時期より、70歳に達した
日後に支給繰下げの申出をしたことが分かりますが、この場合は、70歳
に達した日に支給繰下げの申出があったものとみなします(国民年金法
第28条)。したがって、老齢基礎年金は70歳に達した日の属する月の翌
月分(本問の場合平成27年9月分)から支給されます。
4)適 切 女性の生年月日及び夫の死亡日より、66歳に達する前に遺族厚生年金の
受給権者となったことが分かりますが、この場合は繰下げ支給の申出を
することはできません(国民年金法第28条)。
《解答》 4)
《問2》の「解答・解説」
遺族基礎年金および遺族厚生年金に関する問題です。選択肢1)、4)はやや難しい問題といえますが、基本的な事項を覚えていれば、解答が 3)であることは導き出せるでしょう。
1)不適切 夫が遺族厚生年金の受給権者となるためには、厚生年金の被保険者が死
亡したときに55歳以上でなければならないため、選択肢の場合、夫は受
給権を取得できません(厚生年金保険法第59条)。
2)不適切 死亡した夫が、老齢厚生年金の受給権者であった場合に、遺族厚生年金
に中高齢寡婦加算が加算されるためには、死亡した夫の厚生年金保険の
被保険者期間が20年以上あることが要件の一つとなります(厚生年金保
険法第62条)。
したがって、要件を満たせば、被保険者期間が25年未満でも、中高齢寡
婦加算が加算されます。
3)適 切 遺族厚生年金に経過的寡婦加算が加算されるためには、妻の生年月日が
昭和31年4月1日以前でなければなりません(厚生年金保険法昭和60年
改正法附則第73条)。
したがって、昭和31年4月10日生まれの寡婦には、経過的寡婦加算は
加算されません。
4)不適切 遺族厚生年金は、受給権者が直系血族及び直系姻族以外の者の養子にな
ったときに消滅します(厚生年金保険法63条)。
父親の母は、直系血族に該当するため、養子縁組をしても受給権は消滅
しません。
《解答》 3)