1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)認定試験 答案練習
~2016年度試験対策・第2回~

■企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第326号(2016.6.15)掲載
B分野:確定拠出年金制度

企業型年金の導入前後の手続等に関する問題です。出題項目としては比較的オーソドックス
な項目ですが、より詳細な内容が問われているので、確実に理解しておくことが求められま
す。学習するときは、確定拠出年金法の内容に加え、施行規則や法令解釈などの内容も確認
しておきましょう。

《問1》の「解答・解説」
企業型年金規約の承認の申請・変更等に関する問題です。(4)はやや細かい判断が求め
られる問題といえます。規約変更の原則と例外を正しく理解するとともに、例外に該当する
具体的な項目を確認しておく必要があります。

(1)企業型年金規約の作成にかかる労働組合の同意は、厚生年金保険の被保険者の過半
   数で組織する労働組合の同意が必要であり、厚生年金保険の被保険者の3分の1以
   上で組織する労働組合では要件を満たしていません(確定拠出年金法3条)。
   なお、2016年6月3日に公布された「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」に
   より、2017年1月1日より、「厚生年金保険の被保険者」は「第1号等厚生年金被保
   険者」に改められます。
(2)作成した企業型年金規約は、厚生労働大臣に提出し、承認を受ける必要があります。
   なお、添付書類として、労働者代表の同意書や協議の経緯に関する書類が必要な点
   は正しい記述です(確定拠出年金法3条 同法施行規則3条)。
(3)企業型年金規約の承認申請の標準処理期間は2カ月で、提出時期は、企業型年金を
   実施しようとする概ね2カ月前とされています。
   行政手続案内検索サイト(総務省) 確定拠出年金企業型年金規約の承認申請
   http://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/Procedure?CLASSNAME=GTAEGOVMSTSEARCH
(4)企業型年金規約を変更するときは、原則として、従業員の同意を得た上で厚生労働
   大臣の承認を受けなければなりませんが、軽微な変更の場合は従業員の同意を得た
   上で遅滞なく厚生労働大臣に届け出れば良く、さらに、特に軽微な変更の場合は従
   業員の同意は要件とされず、遅滞なく厚生労働大臣に届け出れば良いことになって
   います(確定拠出年金法5、6条)。特に軽微な変更の一つとして、資産管理機関
   の名称及び住所の変更が定められています(同法施行規則5条2項)。

《解答例》
(1)×:規約の作成に際しては、従業員(厚生年金保険の被保険者)の過半数の代表者
     または従業員の過半数以上で組織される労働組合の同意が必要である。
(2)×:規約は厚生労働大臣の承認を受ける必要があるが、労働基準監督署の承認は
     必要とされていない。
(3)○
(4)○

《問2》の「解答・解説」
事業主の行為準則に関する問題です。原則的な内容は、確定拠出年金法、同法施行規則
に定められていますが、法令解釈の内容も確認しておくと良いでしょう。
自社株式を運用の方法として提示する際の主な留意事項としては以下のものが挙げられま
す。

①もっぱら加入者の利益のみを考慮して、忠実に業務を遂行すること(確定拠出年金法
  43条)。
②特定の運用方法について指図を行うこと又は行わないことを勧めてはならないこと
(確定拠出年金法施行規則23条)。
③倒産リスクがあることを十分に情報提供すること(法令解釈第6)。

《解答例》(以下のうち2つ)
・事業主は、加入者等の利益のみを考慮して確定拠出年金関連業務を遂行しなければ
ならないという「忠実義務」を遵守する必要がある。
・事業主は、加入者等に対して、仮にY社が倒産した場合、加入者等の個人別管理資
産のうち、当該株式で運用する部分の資産がゼロになる可能性(倒産リスク)があ
ることを十分に説明する必要がある。
・事業主は、加入者等に対して、自社株式等の特定の運用の方法にかかる金融商品に
ついて指図を行うことや指図を行わないことを勧めることがないように留意する必
要がある。
・事業主は、自社株式にかかる「インサイダー取引」の観点から注意する必要がある。

《問3》の「解答・解説」
企業型年金において、会社が行うべき報告、従業員に説明すべき事項に関する問題で
す。時期や提出先などを正確に覚えましょう。

(1)会社は、企業型年金に係る業務についての報告書を、毎事業年度終了後3ヶ月
   以内に厚生労働大臣に提出しなければなりません(確定拠出年金法50条)同法
   施行規則27条)。
(2)会社は、60歳未満で資格を喪失した加入者に対して、以下の2点について十分に
   説明しなければなりません(法令解釈第7)。
   ①資格を喪失した日の属する月の翌月から起算して6カ月以内に、企業型年金又は
   国民年金基金連合会に個人別管理資産の移換の申出を行うこと。
   ②申出を行わないと、個人別「管理資産が国民年金基金連合会に自動的に移換され、
   本人による移換の申出が行われるまでの間、運用されることのないまま、管理手
   数料が引き落とされることとなること

《解答》
(a) 3カ月
(b) 厚生労働大臣
(c) 6カ月
(d) 国民年金基金連合会