できるだけ安定して試験を実施するためには、受験者ひとりに対して下表に示す通信速度が目安になります。
試験科目 | 目安となる受験者ひとり当たりの通信速度 |
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日商PC検定 | 1Mbps |
キータッチ2000テスト | |
ビジネスキーボード | |
電子メール活用能力 | |
EC実践能力検定 | |
日商マスター | |
ビジネス英語 | 2Mbps |
電子会計 | |
上級試験 |
また、通信速度の変動が少なく安定していることも重要です。
インターネット通信の回線にADSLを使用している場合には、実際の通信速度がどれだけかということと、通信速度が変動し易いことに注意が必要です。
ADSL技術の歴史的な経緯からADSLの通信速度には何種類かあり、それがそのまま回線業者から提供されるサービスメニューになっています。
例えば、47Mbpsの契約では最大47Mbpsで通信ができることになっています。しかし、この通信速度はあくまでも理論値であって、実際にはその速度で通信ができるわけではありません。
ADSLはもともと電話用として張られている電線を流用しているため、電線の特性や長さ(収容局から終端までの距離)の影響を強く受け、通信速度が大きく変化します。また、その時々の電話の利用状況の影響も受けるため、通信速度は一定ではなく、時々刻々変化するのが普通です。
【ADSLの模式図】
CATVはCATV用の通信ケーブルを利用しているため、ADSLに比べれば電線の特性や長さの影響は受けにくいといえます。
しかし、CATVは1本のケーブル(厳密に言えばインターネット通信用の帯域)を契約者全員で共用する形態が一般的なので、その時々の契約者のインターネット利用状況によって通信速度が変動してしまう傾向にあります。
例えば、契約者のひとりが大量データのダウンロードを始めると、インターネット通信用の帯域を占有する状態になってしまい、他の契約者の通信速度が低下してしまうことになります。
また、CATVは地域ごとに提供されるサービスであり、サービスを提供している運営会社は地域ごとに独立しています。そのため、CATVによるインターネット通信は、提供されるサービスの種類や品質がCATV会社によって大きく異なる場合があります。
現在契約しているCATV会社のサービスに不満があるからといって、地域ごとに運営会社が区分けされるCATVでは、別のCATV会社のサービスに乗り換えられない点にも注意が必要です。
【CATV回線の帯域の割り振り】
現在使用している回線がADSLやCATVで、試験の実施に支障が出ている場合には、まずは回線の品質について確認をしていただくことが必要です。
通信速度が遅くても変動が少なく一定であれば、一回の受験者数を通信速度に見合った人数に抑えていただくことでトラブルは減らせると考えられます。しかしながら、先に示した通信速度の目安を大きく下回るほど遅い場合には、速度を改善する対処が必要です。
一方、通信速度の変動が激しい場合の対処は、回線の品質を向上して速度の変動を少なくする以外に方法がありません。
変動の幅が狭ければ、一回の受験者数を少なくすることで対処できる可能性はあります。しかし、通信速度が変動するので適切な受験者数が毎回変わってしまうことになり、適切な受験者数を決めにくいという問題があります。
さらに、試験を実施している最中に通信速度が変動してしまうと、試験開始時点では適切な受験者数であっても、試験の途中や終了時には不適切な人数になってしまう可能性があるので、実質的には適切な受験者数を決められないことになります。
回線の通信速度が遅い場合、通信速度の変動が激しい場合、いずれの場合も回線の品質を改善することが最善の対処方法になります。
回線の品質を改善する一般的な方法は、回線の種類をより品質の高いものに変更することです。回線の品質としては、
ADSL < CATV < FTTH(光ファイバー)
というのが一般的な認識です。
ただし、利用するISP(インターネットサービスプロバイダ)の設備なども通信速度に強く影響するので、FTTHにすれば絶対に問題が解決するとは言えません。
いずれにしても、回線業者やISP業者に相談した上で対処方法を決めるのがよいでしょう。