連結会計(その2:連結会社間の取引・未実現損益の消去)

連結会計にあたっては、資本連結以外にも連結会社間の取引や未実現損益の消去といった論点もあります。

まず、連結会社間の取引ですが、たとえば企業集団内で資金の貸し借りをする場合がありますが、連結財務諸表を作成するにあたっては貸付金と借入金とを相殺消去する必要があります。また、親子会社間で商品の売買をしている場合には、内部取引ですので売上高と売上原価を相殺消去すること加えて売掛金と買掛金とを相殺する必要もあります。さらに、債権に対し貸倒引当金を設定している場合には、貸倒引当金を修正する必要も出てきます。

次に、未実現損益の消去ですが、例えば親会社が子会社に利益を付加して商品を販売していたケース(これをダウンストリームといいます)を考えてみますと、子会社がその商品を企業集団の外部に販売した場合には、親会社が付加した利益は実現していますので問題はありません。しかし、まだ子会社が外部に親会社から仕入れた商品を販売せず、子会社の在庫として残っていた場合には、親会社が付加した利益はまだ実現していませんので、連結会計上これを消去する必要があります。

同様に、固定資産についても親子会社間で売買が行われていた場合には、これに係る未実現損益を消去する必要があります。ただし、固定資産については減価償却を伴いますので、処理が複雑になります。そのため、2級での固定資産の連結会社間での売買については、減価償却を行わない土地に限定することになっています。

なお、学習者などの準備期間を十分に確保するため、連結会計は平成29年月施行の第147回簿記検定試験以降、出題されます。要するに、平成29年6月の第146回簿記検定では出題されませんので、注意してください。さらに、子会社が親会社に商品などを販売し、未実現利益が子会社側に生じているアップストリームの場合における未実現利益の消去については、平成30年度からの出題範囲になります。

連結会社間の債権・債務等の処理
<仕訳例>
(1) 決算日現在、P社はS社に対し、¥2,000,000を貸し付けている。連結にあたって必要な相殺消去仕訳は次のとおりである。

No. 借方科目 金額 貸方科目 金額
(1) 借入金 2,000,000 貸付金 2,000,000

<仕訳例>
(2)上記(1)に関連して、S社は利率年2%の利息を支払っている。連結にあたって必要な相殺消去仕訳は次のとおりである。

No. 借方科目 金額 貸方科目 金額
(2) 受取利息 40,000 支払利息 40,000

<仕訳例>
(3) 上記(1)に関連して、貸倒引当金を修正する。P社は決算に際し、期末時点で未回収の債権価額の1%を貸倒引当金として設定している。連結にあたって必要な修正仕訳は次のとおりである。

No. 借方科目 金額 貸方科目 金額
(3) 貸倒引当金 20,000 貸倒引当金繰入 20,000

連結会社間の商品売買・未実現損益の消去
<仕訳例>
(1) P社はS社に商品¥3,600,000を販売していた。なお、P社はS社に商品を販売する際には原価に20%の利益を付加している。連結にあたって必要な相殺消去仕訳は次のとおりである。

No. 借方科目 金額 貸方科目 金額
(1) 売上高 3,600,000 売上原価 3,600,000

<仕訳例>
(2) 期末時点でP社はS社に対する売掛金¥720,000が未決済である。連結にあたって必要な相殺消去仕訳は次のとおりである。

No. 借方科目 金額 貸方科目 金額
(2) 買掛金 720,000 売掛金 720,000

<仕訳例>
(3) 上記(1)に関連して、貸倒引当金を修正する。P社は決算に際し、期末時点で未回収の債権価額の1%を貸倒引当金として設定している。連結にあたって必要な修正仕訳は次のとおりである。

No. 借方科目 金額 貸方科目 金額
(3) 貸倒引当金 7,200 貸倒引当金繰入 7,200

<仕訳例>
(4) S社にはP社から仕入れた商品¥360,000が期末現在、売れずに残っている。連結にあたって必要な相殺消去仕訳は次のとおりである。

No. 借方科目 金額 貸方科目 金額
(4) 売上原価 60,000 商品 60,000

 

土地の売却損益の消去
<仕訳例>
(1) 期中において、P社はS社に対し、簿価¥2,000,000の土地を¥2,500,000にて売却し、決算日現在、S社はそのまま保有している。連結にあたって必要な相殺消去仕訳は次のとおりである。

No. 借方科目 金額 貸方科目 金額
(1) 固定資産売却益 500,000 土地 500,000