連結会計(その1:資本連結)

親会社(他の会社を支配している会社)と子会社(他の会社に支配されている会社)からなる企業集団の財政状態および経営成績などを明らかにするために、それぞれの個別財務諸表を合算させた財務諸表を連結財務諸表といいます。連結財務諸表を作成するための手続きは連結会計と呼ばれていますが、これまではすべて1級の出題範囲とされていました。しかし、連結重視のディスクロージャーの制度になってからもう20年近く経過して定着しています。また、税法などでも企業集団を対象とした制度の整備が進んでいることに加えて、企業経営自体、グループ全体を視野に入れた経営判断を行う連結経営が加速していますので、連結会計に対するニーズは大企業のみならず中小企業においても高まってきています。こうした実社会での流れに合わせて、2級の段階でもある程度の連結会計について習熟しておくことが望ましいと判断しました。

つまり、親会社の投資と子会社の資本を相殺する資本連結では、親会社の子会社に対する持分が100%のケースばかりではなく、そのほかの非支配株主が存在するケース、また投資と資本を相殺したときに生じた「のれん」を計上するケース、などが該当します。またのれんの償却、子会社の獲得した利益の非支配株持分への振替えおよび子会社の実施した配当金の按分も必要になります。ただし資本連結においては、子会社の資産や負債を時価評価することや、支配獲得までの段階取得や支配獲得後の追加取得、子会社株式の一部売却および子会社の時価発行増資などは難解な論点であるため、2級では出題範囲から外して1級の出題範囲としています。

なお、学習者などの準備期間を十分に確保するため、連結会計は平成29年月施行の第147回簿記検定試験以降に出題されることとなっています。要するに、平成29年6月の第146回簿記検定では出題されませんので、注意してください。

<仕訳例>
(1) 平成×1年度末に、P社はS社の発行する株式の90%を¥1,480,000で取得して支配した。このときのS社の資本金は¥900,000、利益剰余金は¥600,000であった。この場合の連結仕訳は次のとおりである。

No. 借方科目 金額 貸方科目 金額
(1) 資本金
利益剰余金
のれん
900,000
600,000
130,000
子会社株式
非支配株主持分

1,480,000
150,000

<仕訳例> のれんの処理
(2) 上記<仕訳例>で生じたのれんについて、償却年数を10年とする定額法で償却する。

No. 借方科目 金額 貸方科目 金額
(2) のれん償却 13,000 のれん 13,000

<仕訳例> 当期純利益の非支配株主への振替え
(3) S社の当期純利益が¥500,000であったとき、P社の持分が70%であった場合の非支配株主持分に振り替える仕訳は次のとおりである。

No. 借方科目 金額 貸方科目 金額
(3) 非支配株主に帰属する当期純利益 150,000 非支配株主持分 150,000

<仕訳例> 配当金の按分
(4) 子会社S社は、当期中に¥400,000の配当を実施していた。なお、親会社のP社はS社の発行する株式の70%を保有している。

No. 借方科目 金額 貸方科目 金額
(4) 受取配当金
非支配株主持分
280,000
120,000
配当金 400,000