リース取引の借手側の会計処理・表示
リース取引は、物件を所有する貸手が借手にリース期間にわたり使用収益する権利を与え、借手はリース料を貸手に支払う取引です。リース会計は、従来すべて1級の範囲とされてきましたが、リース取引を用いた設備投資は業種・規模を問わず広く一般化しています。そこで、ファイナンス・リース取引で重要性が乏しい場合に認められる簡便な利子込み法またはリース資産と利息相当額とを区分する利子抜き法によった場合は定額法に限定することで受験者に配慮する代わりに、2級の段階から学習しておくのが適当であると判断し、今回の「出題区分表」より移行しました。そのため、利子抜き法での利息法や級数法によった場合の処理をはじめとして、セール・アンド・リースバック取引などは1級の範囲に残しています。なお、ファイナンス・リース取引またはオペレーティング・リース取引を問わず、すべてのリース取引で、貸手側の処理はこれまで通り1級で出題されますので、変更はありません。
<仕訳例1>リースの借手側の会計処理(利子込み法)
(1)期首に年間リース料¥600,000(後払い)、期間5年間の条件でリース契約を締結した。この取引はファイナンス・リース取引に該当し、会計処理は利子込み法に基づき資産および負債を計上する。
(2)1回目のリース料を現金で支払った。また、本日決算日であるため、残存価額ゼロ、耐用年数5年の定額法による減価償却(記帳は間接法による)を行った。
No. | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
(1) | リース資産 | 3,000,000 | リース債務 | 3,000,000 |
(2) | リース債務 減価償却費 |
600,000 600,000 |
現金 リース資産減価償却累計額 |
600,000 600,000 |
<仕訳例2>リースの借手側の会計処理(利子抜き法)
(1)期首に年間リース料¥700,000(後払い)、期間6年間の条件でリース契約を締結した。この取引はファイナンス・リース取引に該当し、貸手の現金購入価額は¥4,050,000である。利子抜き法(利息相当部分は定額法による)に基づき、貸手の現金購入価額にて資産および負債を計上する。
(2)1回目のリース料を現金で支払った。また、本日決算日であるため、残存価額ゼロ、耐用年数6年の定額法による減価償却(記帳は間接法による)を行った。
No. | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
(1) | リース資産 | 4,050,000 | リース債務 | 4,050,000 |
(2) | リース債務 支払利息 減価償却費 |
675,000 25,000 675,000 |
現金
リース資産減価償却累計額 |
700,000
675,000 |