平成16年度前期の講評と今後の学習の指針(第33回2級)を掲載
 
平成16年7月1日
 

 日商文書技能検定2級の「ビジネス文書科目」につきましては、この5月15日に行われた第33回から解答時間が10分間延長されて40分間になりました。このため、指導者や受験者の皆様に戸惑いが生じないか懸念されましたが、混乱もなく無事に終了しました。皆様方のご理解、ご協力に感謝申しあげます。全国平均の合格率は、およそ45%です。
 第33回実施の2級について、全般的な講評をしておきます。


<ビジネス文書科目>

 40分間になって初めての「ビジネス文書」の課題は、広報誌に掲載する事業(車の駅)の原稿を作成するというもので、「事前入力データ」に示されている様々な資料やデータを活用しながら、(1)文体の整理・文末の統一 (2)文字列の編集 (3)表の作成と加工 (4)図(地図)の作成と加工 (5)見出しの選択 などを、手順(指示)にしたがって処理(解答)してもらいました。

 当ホームページなどで公表されていたように、延長された10分間は、主として文章の表記や文体の整理に関する課題が多く出されました。具体的には、箇条書きや体言止め、文体の統一などです。本稿では、この分野に関する正答率がきわめて低い傾向にあると繰り返し指摘してきましたが、残念ながら、今回もこの宿題は解決されていませんでした。

 この科目の平均合格率は、毎回、60%前後で推移していて、今回も60%を超えています。低い合格率(12.5%)だった前回でも科目合格率は50%が確保されていました。つまり、科目不合格となった受験者のほとんどは、この文章処理に関する課題で失敗した可能性が高いということになります。顕著な例は、この箇所に全く手が付けられない解答がきわめて多かったこと。これに少しでも答えられていれば、科目合格率は確実に高まったはずです。とりわけ、60点台で不合格になった皆様は、今後はこれらの箇所、すなわち文章表記と文字列の整理に、特に力を入れて学習する必要があるといえるでしょう。

 ビジネス文書科目の主な課題は「技巧分野」と「文章処理分野」です。図表の作成や加工とともに、文章の表記や文字列の編集能力、すなわち「日本語の活用知識」が求められることを再認識しておかなければなりません。

 今回、図の作成や表の加工は、おおむねよい結果でした。太い罫線を使った地図の作成も事前入力データで研究した効果がみられ、指示どおりに完成できた解答が多く見られました。


<入力科目>

 最近の顕著な傾向は、他の3科目に合格しながら「入力科目」で不合格になる受験者が増加していることです。先に「平成15年度最優秀者」に輝いた姫路市の谷水貴子さんは、「合格するポイントは入力能力を高めること」「速く正しいキー操作は、ビジネス文書科目を解答するうえでも、きわめて有効である」などと語ってくれました(谷水さんへのインタビュー記事はこちら)。

 今回も入力科目で不合格になった受験者が15%にも達しています。入力技能を高める原則は、キーを操作する運動神経を鍛えることですから、日ごろ練習していない人が上達することなどありえないのです。オリンピックに練習しないで参加するのと同じ、これでメダル獲得は無理でしょう。あらためて、入力科目の重要性を確認してほしいものです。

 なお、今年度よりビジネスキーボード認定試験の評価による入力科目の免除が出来るようになりました。この制度を活用して、入力科目をパスしておくのも、合格への近道の一つかもしれません。

<筆記科目>

 筆記科目の「常識」は科目合格率が90%を超えていて、指導者と受験者の皆様の努力の成果が証明されました。

 他方、「日本語」の科目合格率はおよそ70%にとどまっています。近年の平均が80%前後ですから、今回はやや低い結果だったといえるでしょう。

 日本語科目の合格率は年々低下する傾向がみられ、残念ながら、巷間でよく言われる「日本語力の低下」とも符号しています。正しい言葉遣い、すなわち日本語の活用はわが国でコミュニケーションをとるうえでは、必須の能力。ビジネスで正しい日本語が話せなかったり、記述できなかったりするようでは、企業人失格の烙印は確実です。

 出題の主テーマである「読解力」とは、示された文章や指示された言葉を正確に理解し、それをもとに的確に行動できる能力のこと。また、「表記・表現力」とは、自分の意志や意図を受け手が間違えることなく理解できるように表現し、発信する能力のことです。いずれが欠けても正常なコミュニケーションは不可能です。述べたいことを表現できない、相手の言うことが理解できないわけですから、当然でしょう。

 読解能力を高めるポイントの一つは、多くの書物を読んでその趣旨や状況を理解するようにつとめること。漫画や映像の接しているだけでこの能力は高められません。書物といっても有名な作家が著したものでなくとも、新聞や雑誌、教科書などで十分です。身近にはたくさんの参考となるものがあるはずです。

 また、表記・表現力を高めるためには、上述した書物に出てきた表記や、他者とのふれあいの中で経験したすてきな表現を見習って試してみることです。そのためには「きれいで正確な日本語」を遣う人たちとつき合うことが重要です。なぜならば、「人は、頭で考えている言葉がそのまま口から出る」からです。「うざい」「むかつく」といった下品な話し方の人は、すなわち、下品な言葉でしか考えられない人なのです。教養のある言葉を使おうという心構えも表現力を高めるコツです。

 いずれにしても、日本語文書処理技能検定の2級に合格しようと考えるからには、正しい日本語を使おうという堅い意志を持つことが最低条件。挑戦しようと考えている皆様は、明日と言わず、今から実行してください。

 なお、当所では、日本語科目の参考書として「実践・日本語ゼミナール」(監修・日本商工会議所、販売元・紀伊国屋書店)をご紹介しております。こちらも大いにご活用ください。

 今回、見事2級に合格された方は、次は最上級である1級に、ぜひチャレンジしてみてください。次の1級の試験日は、16年10月3日(日)です。

 また、今回は、残念な結果に終わってしまった皆様は、これにくじけることなく、この講評を参考にし、再度2級に挑戦してみてください。次回の2級は16年10月2日(土)、3日(日)です。

 受験されるすべての皆様の合格を、心からお祈りいたしております。