平成14年度前期の講評と今後の学習の指針(第29回2級)
 
(平成14年8月20日)
 このサイトはこれまで、前年度に出題された試験問題に関する総合的な解説を行って、新しい年度の問題に備えるための情報を提供してきました。
5月から昨年度(13年度)の講評を本Webページに掲載しています。
今年度からはこれに加えて、2級と1級の検定試験が終了した後にも、「ビジネス文書科目」を中心とした問題解説を行って、新たな挑戦のためのヒント(手がかり)にしていただくことにしました。ご活用いただきたいと存じます。

さて、この5月に実施された2級試験(第29回)はきわめて低い合格率となり、受験者や指導者の皆さんから効果的な学習法が知りたいという強いご要請をいただきました。そこでここでは、合格率が低かった原因を分析し、今後の学習方法などについて考えてみることにします。

今回の試験で、多くの受験者が苦戦され、また得点が低かった科目は「ビジネス文書」でした。他の3科目には、ほぼ例年どおりの得点平均が示されていますから、低い合格率の原因が「ビジネス文書」にあったことは間違いないでしょう。
 そこで、この「ビジネス文書」の解答を精査した結果明らかになった点は、まず、第一に「箇条書き」ができずに不合格になった答案が、きわめて多数であったこと。
 「箇条書き」は、ビジネス実務の「基礎中の基礎」であり、企業などではこれができなければ仕事にならないといっても過言ではないほど大切な技能です。先に述べた「13年度の講評」でも、『(箇条書きは)ビジネスでは必須の技能。これからも出題される可能性が高い課題と思われますから、しっかり習得するようにしてください』と、とりわけ重要な能力であることを強調しています。詳解する枚数がありませんから、後でじっくり勉強していただきたいと思いますが、主なポイントだけ述べておきましょう。
 まず、(1)一つひとつのことがらを箇条、すなわち個別の条文にして表記する方法が「箇条書き」ですから、「1件1条」であること。また、(2)儀礼の言葉や敬語は不用ですから、「である体」または「体言止め」を用いること。そして、(3)「簡潔に、必要なことがらだけ」を示すこと、などです。例えば、場所といえば場所だけ、日時といえば日にちと時刻、会費といえば金額だけというように、余計な文は必要ありません。「1.会場 遠方で誠に申し訳ありませんが、○○駅近くの□□ホテルの△△の間までお越しください」では箇条書きになりません。「1.会場 □□ホテル△△の間」で十分。地理に不案内の相手であれば「地図を別添」と付記し、地図を同封すればいいのです。
 不合格要因の第二は、「表の加工」がうまくできていないこと。「事前入力データ」に示されている表を加工する作業だったわけですから、表や項目の意味が理解できていれば、さほど難しい処理ではなかったと思われます。第三の要因が「図形の処理」。これら二点はいずれも13年度講評で、『事前入力データから必要な情報を取り出して適切な位置に配置したり、これを加工したりすることがスタート』であり、『指示に基づくレイアウトの構築力と図形の処理能力など』が重要であると、明確に述べています。
 第四の不合格要因は、(推察ではありますが)「事前入力データ」から課題が予想できなかったこと。つまり、従来の「事前…」はあるていどの範囲で予想できる個所が存在しました。しかし、今回はこの個所がなく、仮に予測したとしても、これがことごとく外れてしまったという実状だったように見受けられます。専門的にいえば、予想や予測は「不確実要因」であり、確定要因ではありません。予測が誤った場合に備えた練習が絶対に必要である所以です。

 いずれにしても、今回の低い合格率は、「表の加工」「箇条書き」「図形処理」という三つの技能を、バランスよく発揮できなかったことに尽きるように思われます。特徴的な解答例をあげれば、表の加工で手間取り時間を浪費してしまったもの、表をクリアしても箇条書きでストップしてしまったもの(最も多かったパターン)、あるいは、図形の処理が滞ったために見直しができなかったとみられるものなど。つまり、不合格になった解答の多くは、どれか一つがクリアできなかったという「バランスの悪さ」です。
バランスのとれた技能、すなわち劣るものが少ない平衡的な技能は、受験対策の基本を示すキーワードの一つなのです。

 近日中に、10月に実施される2級(第30回)と1級(第18回)の「事前入力データ」の配布が始まる手はずです。課題の詳細は不明ですが、表の作成・加工や図形の処理、文章表記の妥当性、文章処理の正確性、あるいは適切な文書体裁など、従来と変わらぬ基本技能が出題されることは、十分に予測できます。
 「事前…」を入手した後は、「解答戦略」を十分に練ると同時に、受験に臨んで予想しなかった問題であっても、「慌てず、焦らず」に取り組めるだけの「心の準備」を忘れないこと。日ごろ鍛えた成果を、普段どおりに発揮できさえすれば、合格ラインは目の前にあるのですから。
 次回こそは、受験したすべての皆さんが合格できるよう、心から期待しています。