平成13年度の講評と今後の学習の指針
世界規模でIT革命が進行するなか、わが国政府においても、「世界最先端のIT国家」を目標に、高度情報通信ネットワークの整備や電子政府の実現を推進するとともに、IT社会に対応した人材の育成、情報リテラシーの向上を図るため、地方自治体における「IT(情報通信技術)研修」や商工会議所の「EC(電子商取引)入門研修」等により、広く国民が情報通信機器活用の基礎を学習する機会を提供しております。
情報と通信の活用が企業活動のみならず個人の社会生活においても基盤となる21世紀の社会では、これらの研修で習得した基礎的な操作能力とともに、これを活用する能力、すなわち誰が読んでも理解できる文章が書け、また、的確なデータ(数値)処理ができるといったように、ITを効果的に使いこなせる技能(技術・知識・応用力)が、必要とされてきます。
こうした情勢から日本商工会議所は、昭和60年(1985年)の発足以来、長年にわたって親しまれてきた『ワープロ技能検定』という「略称」を、平成14年度から『日商文書技能検定』と変更することにしました。あわせて、この検定試験で使われる主な機器も、ワープロ専用機からパソコンとアプリケーション・ソフトウェアを活用するものとしました。この変更によって、ワープロ専用機を用いて受験する人には若干の不便さや不利が生じる場合がありますから、注意が必要です。
同時に、「常識科目」で問われる知識や「ビジネス文書科目」で求められる機能もパソコンを中心としたものになるはずですから、検定試験に対する考え方を整理しておくことが大切でしょう。
そこで13年度の各問題を振り返りながら、14年度における科目ごと、級ごとに、新体制下での学習方法を考えてみることにします。
平成12年度から出題文字数が大幅に軽減されたことで、13年度の入力科目は各級ともにきわめて高い合格率が示されました。日ごろの練習成果が十分に発揮されたことの表れとみていいでしょう。しかし、「出題文字数が減ったから…」などといって入力練習を怠けた受験者の合格率は、当然ながら高くはありませんでした。
速くて正確な入力操作、すなわち、タッチタイピング技術の習得は、出題文字数の多少に関わらず不可欠です。短時間でも毎日必ず行う入力練習が、この科目に合格する近道です。
2. ビジネス文書科目
- (1)3級
- ビジネス実務の入門級である3級は、これまでと同じようにビジネスに
おける「定型文書形式・文章形式」の作成に重点がおかれました。14年度もこの方針に変わりはないと思われます。
- 定型の文書・文章形式とは、ビジネス文書を作成するうえのいわばルール(決まりごと)。ビジネス社会で効率的な文書作成が行え、的確な情報伝達ができるのはこのルールがあるからこそなのです。作成された文書の体裁や伝えたい内容が、誰にでも間違うことなく理解できる形式になっていれば、正確で迅速なコミュニケーション(情報交換)を行うことができます。つまり、決められた形式による文書作成の基本を習得していれば、日常のビジネス実務はきわめて効率的に推進することが可能になるというわけです。
- あわせて、述べたいことがら(記述)を補完するために用いる図や表の作成能力も必要です。13年度は、すべての問題に表作成の課題が出されました。パソコンソフトを使って行う作表技術を確実に習得し、かつ、さまざまな応用ができるように準備しておけば、検定だけでなくビジネスにおいても、きわめて重要な能力として高く評価されます。
- これらの対策と学習には、近い過去に出された問題が多いに役立ちます。数多くの問題を解き、これを応用してみることで効果のある学習ができるはずです。
- (2)2級
- 13年度は、前期(5月実施)が契約しているレジャー施設の利用を案内する社内文書、そして後期(10月実施)がインテリア会社が新製品フェアの開催を知らせるリーフレット(宣伝・広告用の印刷物)の作成でした。両者とも、問題文を十分に読み込まなければすべてに解答することが難しいという内容になっていて、「問い」や「指示」の主旨を理解するところに重要なポイントがありました。これさえ分かってしまえば、解答のために使用すべき機能は、さほど難しいものではなかったといえるでしょう。
- 求められた主な技能は、前期がデータベース(事前入力データ)から指示された事項を抜き出して整理するという情報選択力など、後期が指示にもとずくレイアウトの構築力と図形の処理能力など。ともにビジネスでは常に求められる技能です。また、今回は「箇条書き」の記述が出題されました。これもまた、ビジネスでは必須の技能。これからも出題される可能性が高い課題と思われますから、しっかり習得するようにしてください。
- 解答の手順は、上述したように「事前入力データ」から必要な情報を取り出して適切な位置に配置したり、これを加工したりすることがスタート。問題文や問い、指示をよく読まずに操作を始めた人の中には、終盤になって手順の誤りに気づいて焦った人も少なくなかったようです。また、「事前入力データ」からの選択を誤った人は、最後までこの影響に悩まされていました。
2級、1級という、いわば上位級の問題に取り組むためには、「この課題は何を求めているのか?」という「@出題の意図」を十分に読み取ったうえで、これに答えるためには「どの機能を、どのように使えばよいか?」、すなわち「A解答手順」を十分に計画してから着手することが重要です。例えば、依頼により外部のデータベースから情報を取り寄せるような場合には、このデータの中から何を選び、どのように加工すれば依頼者の期待に答えられるだろうかと、一生懸命に検討するはずです。問題文を十分に読み込まないまま、あるいは作業手順を検討しないまま、パソコン操作に着手するような解答作業は、不合格を目指すようなものです。
- 出された問題が、「事前入力データ」で予想した内容とは大きく異なっていて、頭が混乱してしまった受験者も少なくなかったようです。固定的なイメージで「事前入力データ」を扱うと、応用がきかなくなって受験時にパニックに陥る危険性もあります。予想はあくまでも事前の想像なのですから、これにこだわってはなりません。柔軟に構えるようにしてください。簡単に予想できるような「事前入力データ」と試験問題ではないのですから…。
- (3)1級
- 13年度の「事前入力データ」には、校正未了の文章が提示されました。これまでの内容とは違って、いくつかの文章ミスが含まれていましたから、「事前入力データ」をFDに入力する際に、十分に校正したかどうかが、合否の分かれ目にもなりました。
1級は、この検定試験の最高レベルです。したがって、どのような分野、いかなる種類の問題であっても、余裕をもって答えられるだけ技能が求められます。13年度の問題は、未完成の会議メモをもとに、分かりやすいレイアウトと誰でもが理解できる正しい記述に作りかえて、議事録に仕上げるというものでした。つまり、長期保存にたえうる文書の体裁と、文章表現力が求められたわけです。また、記述した文章を補完するものとして、簡単なフローチャートの作成も出題されました。
- ところで、13年度の受験者の解答傾向には、次の三つの特徴がみられました。1つ目は、ビジネスで用いられる「議事録」の基本を理解していない人が多かったこと。2つ目は、ビジネス用語の理解力と表現力が弱かったこと。そして3つ目が、ビジネスでは通用しそうもないような議事録を、スクールなどで指示されたとおりに作成した人が多かったこと。
- 1級に合格するためには、ビジネスでは多種多様な文書形式が用いられていることをまず認識し、自分から進んで多くのビジネス文書・文章に接する努力が絶対要件です。また、自らの行動で収集した情報でなければ、真に自分のために役に立つ情報とはなりえないのだ、という自覚も必要です。あえて述べれば、これを怠った受験者に合格の芽はないといってもいいほどです。
文書処理技能の入門級である4級は、「公表練習問題集(4題)」が各地の商工会議所から配布され、この練習問題とよく似た問題が試験に出されます。この問題集にある問題を時間内で解答できるようになれば、十分に合格できるレベルです。
今年度の「公表練習問題集」は、昨年度までの5題から4題に減っております。得意な1題を選んで重点的に練習するようにすれば、準備は万全です。
「若者の日本語が乱れている」と指摘する声が、日増しに高まっています。日本商工会議所が全国の大手企業を対象に実施した「アンケート調査」でも、「若年層の国語力が落ちていることを実感する」という企業人からの回答が圧倒的多数でした。このようなことを含め、日本語科目では「文章理解(読解)」と「表記・表現」の二つの領域に、それぞれに異なる形式の問題を出し、これを学習することによって正しい日本語(母国語)を習得してもらいたいと考えています。
まず「文章理解」の問題は、やや長い文章を読んで作者が言わんとする意図を選択したり、本文中になければならない言葉や語句を考えて穴埋めしたりします。文章を読みこなす能力や相手の話を要約して理解するなどの能力が求められるわけですから、文章を読む習慣と人の話を真剣に聞く態度を身につけることが受験対策の第一歩です。
「表記・表現」の課題には、漢字の読み、同音異義語・同訓異字の選択、慣用句の正しい使い方、適切な仮名遣い、敬語の表記などがあります。最近はこれらに加えて、語句の意味や正しい言葉遣い、基礎的な文法、文法上の表記法、反対語なども出題されるようになりました。この領域も、日ごろの生活態度の中で適切な言語表現を心がけることが始まりです。
日本語科目の3級のレベルは、中学・高校時代に勉強した国語と同じ程度と考えておけばいいでしょう。出される課題の数は3級・2級・1級ともに20問ですが、上位級になるにしたがって課題文の文字量が増え、難易度も少しずつ高くなります。
毎回、最後に出題されている「不適切な表記の誤り」は、修正する数を指示したうえで誤りを正すものですから、例えば、漢字の誤りは漢字に、ひら仮名や送り仮名の誤りはその箇所をというように、あくまでも誤りの表記を修正するだけです。余分なものまで手を加えないように注意してください。
ITや情報化の進歩に合わせて、常識科目の出題内容は常に変化しています。特に、今年度からはテーマの中心がパソコンやパソコンソフトウェアになりますから、学習の重点配分を改めておく必要があります。また、これらパソコン活用の新しい知識などに加えて、インターネットや著作権法、Eメールのマナーなどに関する問題なども増えることが予想されます。新しい技術や活用の方法には、常に注意を向けておかなければなりません。
ただし、ビジネス実務における文書処理の常識や知識は、パソコンやインターネットだけに限定されるものではありません。電話や郵便、紙を用いた情報媒体の取り扱いなども文書処理の重要な一部ですから、当然、出題の範囲です。
出題形式は二者択一式ですが、3級が20問(1問5点)、2級・1級が25問(1問4点)です。いずれも、2つの選択肢の中からより適切な1つを選びます。自信がもてない課題は後回しにして、分かったものから順々に答えるようにすれば効率的でしょう。時間が余ったら残した問題に戻るようにします。
試験時間は「日本語科目」と合わせて15分間とわずか。文章を読んだ瞬時にその内容を判断するという訓練が、筆記試験では高い効果を生むといわれます。日ごろの学習にあたっては、受験対策だけでなく自分がもっている多くの技能を目覚めさせ、これを高めるといったことに目標をおけば、「力」は知らず知らずのうちにつくものです。
いずれにしても、受験日が決まったらその日までのスケジュールをしっかりと立て、確実に実行すること。これこそが最大で唯一の受験対策です。
このホームページには、「科目及び内容」と「出題のポイント」などが掲載してあります。しっかり読んで参考にしてください。
受験するすべての皆さんの合格を、心からお祈りします。