[第1問] 3級の出題範囲の中から、典型的な取引に関する仕訳問題を出題しました。特に留意すべき点について述べると以下のとおりです。 1.では、約束手形の引受けによって債務が発生し、支払手形勘定で処理することを理解しているかを確認しました。 3.では、備品と消耗品の区別の問題を出題したが、勘定科目の指定によって消耗品については支出時に費用(消耗品費)として処理することが要求されています。 5.では、小口現金係から連絡を受けた会計担当者がどのように帳簿に記入するかが問題となります。会計担当者は、小口現金を直接管理せず、またその残高が一定とされていることから、主要簿へ行う仕訳としては、諸費用の発生と当座預金の減少を記録すればよいのです。 [第2問] 本問は、商品売買を原価で商品勘定に記入し、商品販売のつど商品販売益を認識する「分記法」の処理に関する理解を問うことに加え、期首と期末の商品在庫高としての“繰越商品”、商品の購入を“仕入”、商品の販売を“売上”として処理をする「三分法」の処理に関する理解と、これら二つの処理方法の関連性を問う問題でした。 両者とも途中の処理方法は異なりますが、最終的には商品販売益は同じ結果となりますので、試験時間内に解答の正否のチェックは可能です。損益勘定で、分記法の場合には商品販売益¥55,000として認識されますが、三分法の場合には、商品販売益は借方に仕入勘定から振り替えられた売上原価の金額¥160,000と売上勘定から振り替えられた¥215,000の差額として認識されることになります。 多くの受験生は、分記法あるいは三分法そのものの理解はきちんとしていると思われます。しかし、これらの方法を両者の処理法と関連付けての理解が十分になされていないようでした。事実、採点状況から見て、解答の状況は極めて芳しくないものになっていました。 分記法を三分法に書き改める際に、仕入活動に関しては、商品勘定の買掛金を相手勘定とする記入を仕入勘定へそのままの金額で記入すればよいので、さほど難しい点はないと思われます。それゆえ、本問の解答の要点は、@販売活動の売上勘定への記入の仕方、A期首と期末の商品棚卸高の求め方、B売上戻りの処理の仕方、C仕入勘定での売上原価の求め方、といった点でしょう。 @に関しては、商品勘定の売掛金勘定を相手とする貸方側の記入の金額と同一日付の商品販売益の金額の合計が売上勘定へ記入されます。Aに関しては、期首商品棚卸高は商品勘定の前期繰越の金額を用いればよいのですが、期末棚卸高は、商品勘定の借方合計と貸方合計の差額の借方残高として求められます。Bに関しては、同一日付の商品勘定の借方に記入された売掛金を相手勘定とする金額と、商品販売益勘定の売掛金を相手勘定とする金額の合計額が売上勘定の借方に記入されます。Cに関しては、 期首商品の金額で(借)仕 入 × × (貸)繰越商品 × × 期首商品の金額で(借)繰越商品 × × (貸)仕 入 × × という仕訳を行った結果を転記します。その結果、仕入勘定で借方残として売上原価が算出されるので、その金額を損益勘定へ振り替えればよいのです。 [第3問] 本問では、年度の途中において作成されている試算表を起点として、その後の取引を反映させて年度末の試算表を作成するという基本的な試算表の作成問題でした。 日常的に生ずる諸取引を丁寧に記録し、集計していけば解答にたどり着く問題ですので、基本事項に関する幅広い知識と事務処理の正確性が求められています。したがって、正しい解答を導き出すためには、秩序性・網羅性・検証可能性といった正確な会計記録の要件を満たすように、仕訳や勘定記入の作業を行うことが重要です。 [第4問] 本問は、資本金勘定で示された資本に関する取引から、資本金勘定と引出金勘定を用いた場合の記帳を推定させる設問です。 資本金勘定の記録にもとづいて、期中の仕訳を推定し、資本の引出しに関する取引については引出金勘定へ転記し、資本の追加元入れに関する取引については資本金勘定へ転記すれば、期中の取引の記帳は完成します。また、引出金勘定を設けた場合、期末に引出金勘定の残高を、資本金勘定へ振り替える処理が必要になってきます。このための振替仕訳と、損益勘定から当期純利益を資本金勘定へ振り替えるための仕訳を引出金勘定と資本金勘定へ転記し、2つの勘定の借方と貸方を合計すれば、すべての( )を推定することができます。 標準的な設問ではありますが、引出金勘定を設けた場合には、期中の記帳方法だけでなく、期末の記帳方法にも精通しておく必要があります。 [第5問] 本問は、決算日までに判明した未処理事項と期末整理事項にもとづいて、8桁精算表を作成させることを通じて、決算に関する基本的な理解を問う設問です。 精算表を完成させる上でポイントとなったのは、未処理事項の処理です。というのもこれらの取引は、いずれも売上債権(受取手形や売掛金)に関連するため、期末整理事項の貸倒引当金の設定に影響を与えるからです。また、未処理事項の1の返品されてきた商品については、期末商品棚卸高に含まれていないため、売上原価の算定にあたってはその原価を期末商品棚卸高に加えておく必要があります。 そのほか、減価償却費の計算や、収益と費用の繰延と見越が正確に行われているか否かなどといった点もポイントとなっています。特に、保険料の繰延の処理では、再振替について十分理解できているかどうかが、解答にあたって鍵となっています。 |