出題の意図<3級>


[第1問]
 期中における基本的な取引を示して、これらの取引を適切な勘定科目を用いて仕訳することができるかどうかを問う標準的な設問です。いずれも基礎的な内容であり、取引を記した文章をじっくりと読み、取引要素の結合関係を念頭に置きながら、資産・負債・資本の増減や費用・収益の発生を的確に捉えることができれば、容易に解答できる問題です。
しかし、ケアレス・ミスから、2では当座借越の処理をしたり、4では小口現金勘定を用いて処理したりしている答案が少なからず見受けられました。
 2では、当座借越契約を結んではいますが、当座預金残高を上回る引出しを行っているわけではないため、当座借越の処理は必要ありません。また、勘定科目に現金勘定が与えられていませんので、普通預金口座から一度現金を引き出して、この現金を当座預金口座に預け入れたとする処理も正解とはならない点に注意する必要があります。
 4では、小口現金係から報告を受けた分だけ一度小口現金勘定の残高を減少させて、改めて資金の補給を受けた分だけ小口現金勘定の残高を増加させる処理もありますが、本問では小口現金勘定が与えられていませんので、このような処理も正解とならない点に注意する必要があります。


[第2問]
 仕入帳と売上帳で示された資料から、移動平均法による商品有高帳の記入を問うとともに、商品有高帳から売上原価と売上総利益の算出を問う設問です。本問では、直接的には移動平均法による商品有高帳の記帳方法の理解しか問われていませんが、売上総利益の計算過程では、先入先出法による記帳方法の理解も間接的に問われている点に注意する必要があります。
 商品有高帳の記入については、仕入帳と売上帳の取引にもとづいて、単価の異なる商品を受け入れるつど、在庫商品の残高と受入商品の金額の合計額を在庫数量と受入数量の合計量で除して平均単価を計算し、その後の払い出しには、この平均単価を適用して記帳していきます。ただし、仕入れた商品を返品した場合には、平均単価に関係なく、返品した商品の数量、単価および金額を払出欄に記入し、返品後の平均単価を再計算しなければならない点に注意する必要があります。
 移動平均法による商品有高帳の記帳方法に関しては正答率が高かったようですが、売上総利益の計算で失点する答案が数多く見受けられました。商品有高帳では、払出欄の合計額(返品・値引き取引を除く)が売上原価を表していることを承知していれば、このような問題も比較的容易に解答できたはずです。この種の問題を解答するためには、単に商品有高帳の記入方法を理解しているだけでなく、商品有高帳の示す情報内容も理解していなければなりません。


[第3問]
 本問では、期首貸借対照表と1月中の取引に関する資料から、1月末の合計残高試算表を作成する問題です。基本的な期中の簿記手続の流れを理解しているかを問うています。
 1月中の取引について仕訳をして、期首貸借対照表に示されている各勘定の残高をスタートの金額として、借方と貸方に分けて金額を集計すれば解答が得られます。
 なお、1月中の取引は、同種取引をまとめて表示している形式で示しているので、例えば当座仕入取引という1つの取引が仕入と当座出金のそれぞれに関する取引として二重に示されています。企業が行なった取引の実態をイメージできていれば問題なかったと思いますが、解答に際してはこの点に留意しなければならなりません。


[第4問]
 本問では、複数の伝票にまたがる取引をどのように起票するかについて問うものです。確実に解答するためには、まず、取引の仕訳をして、その仕訳を指定の複数の伝票に記入できるように分解すればよいのです。
 過去に出題の実績もあり、また基本的な問題であるので、採点の結果はおおむね良好でした。


[第5問]
 本問は精算表の基本的な理解がなされていることを前提とした、精算表の作成に関する応用問題です。本問では、精算表の全体的構造の中での数字の流れがどのようなものとなっているかにかかわる理解を問うています。
 本問の解答は、@基本的には、解答用紙に記された数字を手がかりにして、数字が明らかになった箇所から順次数字を埋めていく、A決算修正事項を把握し、その仕訳を適切に行う、といった作業がきちんとなされていれば、おのずと解答は得られることになるでしょう。ただし、Aの作業が適切に行われるためには、決算修正事項の意味内容がきちんと理解されていなければならなりません。例えば、
 期首商品棚卸高+当期仕入高−期末商品棚卸高
として仕入の行で求められる売上原価の算定はどのような意味なのか、それが決算修正仕訳の上では具体的にどのように行われるのかが、きちんと理解されていることが必要です。
 また、前払利息の金額は、当期の支払利息から控除される金額であり、損益計算書にはこの金額が控除された額が計上されるのであるといった、数字間の関連性をよく把握しておくことが重要です。
 これらの点で、本問は、精算表の内容をより深く理解しているかどうかを問う問題であるとともに、3級全体の学習にかかわる理解を問う、総復習の意味を有する問題であるともいえます。