出題の意図<3級>


[第1問]

 本問では、3級の出題範囲に含まれる基本的な事項について確認するための仕訳問題を出題しました。
 3では、営業用の自動車に係る自動車税は企業にとって費用になるのに対し、事業主個人の所得税は資本の引き出しになることを理解しておかなければなりません。
 また、5では、販売用の事務机が備品ではなく、商品として取り扱うべきことに留意する必要があります。

[第2問]

 本問では、3級の出題範囲に含まれる基本的な事項について、文章の空欄に適当な語句を記入する問題形式で出題しました。
 1では、商品の期首棚卸高と当期仕入高を一定とした場合の、期末棚卸高と売上原価の関係から、当期の売上総利益がどのように動くか理解しているかを確かめています。例えば、先入先出法を採用する場合と移動平均法を採用する場合とを比較して、期末棚卸高が大きくなる方法を採用した場合に売上原価や売上総利益がどうなるか理解しているかが問われています。
 2は、仕訳帳と補助記入帳の役割について確認する問題です。現金出納帳を補助記入帳として利用する場合には、入金取引と出金取引は仕訳帳にも記入しなければなりません。
 3では、売上値引が販売益の減額であり、商品の売上原価や期末棚卸高に影響しないため、商品有高帳に記入する必要がないことについて理解しているかを確認しました。
 本問は4級ではしばしば出題されている形式ですが、3級ではなじみがなかった形式であったためか、あまり採点結果は芳しくありませんでした。3級の学習をする場合にも、簿記の基本原理について学習しなければならないことに留意してほしいと思います。

[第3問]

 本問は、10月の月初残高にもとづき、設問で与えられている10月中の取引を処理して、10月中の月中取引高と月末時点の残高試算表を作成させる設問です。一つ一つの取引は基本的なものばかりで、3級の範囲で、期中に生じる取引を偏ることなく出題するように配慮しています。そのため取引量は多少多めとなっています。したがって、普段からこの種の問題を解く練習を積み重ね、少しでも効率的に解答を導き出す方法を身につけておく必要があります。
 また、設問中にも注意してあるように、取引が補助記入帳で与えられているため、同一の取引が複数の補助記入帳に記入されている場合があります。どのような取引がいずれの補助記入帳に重複して記入されているかをいち早く見抜き、このような取引を重複して処理しないよう、十分注意を払う必要もあります。
 期首残高と期中取引を資料として与え、そこから期中取引高と月末残高を解答させる形式の問題は、すでに何度も出題されており、決して目新しい出題形式ではありませんが、答案の中には、月中取引高欄に月末の合計額を記入しているものが数多く見受けられました。簿記検定試験に限らず、どのような試験でもあてはまることですが、まず設問で問われている内容を的確に捉え、それに即して要求されている解答を導き出すことが、最も重要なポイントとなります。

[第4問]

 本問は、伝票会計のもっとも基本的な仕組みである入金伝票、出金伝票および振替伝票を用いた三伝票制の理解を問う問題です。
 この伝票会計の仕組みのもとでは、現金の増加に関する取引は全て入金伝票を経由し、現金の減少に関する取引は全て出金伝票を経由し、現金の増減を伴わない取引は全て振替伝票に記入が行われて処理されることになるので、格別内容的には難しい点はないと思われます。ただ、一つの取引の中に現金の増加あるいは減少と、それら以外の項目の増減が含まれる場合、いわゆる複合取引といわれるものについては、その取引を、現金の増減部分に関しては入出金伝票に、それら金額を越える部分に関しては振替伝票に分けて記入を行う必要があるので、その点の理解がきちんとなされていることが大事です。
 しかし、そのような場合であっても、基本的には、仕訳が正確に行われていれば、その通りに伝票に記入を行えばよいので、格別難しい点はないと思われます。それだけに全体として、できはよかったと思われます。
 本問の(1)および(2)の両取引とも複合取引です。解答にさいしては、まず仕訳を最初に正確に行うことが必要です。問題には勘定科目と金額が適宜示されているので、これら以外の勘定科目と金額を伝票の上に記入をして行けば自動的に解答は得られるでしょう。ただ、仕訳が正確に行われたとしても、解答欄にそれが正確に記入されていなければなりません。この過程の記入を間違えるというイージーミスは絶対に避けたいものです。

[第5問]

 本問は決算日までに判明した未処理の事項を処理した後に決算整理事項にもとづく処理を行って精算表を作成させるという問題です。
 決算日までに判明した事項の処理は、誤記入や仮払金、仮受金、前受金といったそれぞれの内容にかかわる箇所の事項の理解が正確になされているかどうかを問う意図があります。いわば3級の内容の一部に関する理解にかかわる復習問題です。
 決算整理事項は、現金過不足の処理、期末商品棚卸高の修正、貸倒引当金の設定、減価償却費の計上、損益の見越と繰延など、3級の精算表の作成としてはもっとも基本的な内容となっています。それゆえ、これら決算整理事項に関する学習がきちんと行われていれば、格別解答にさいしては難しい点はないと思われます。もし、これらの仕訳処理の点でつまずくようであれば、もう一度きちんと学習をし、理解を確実なものとしておく必要があるでしょう。とりわけ、仕入勘定での売上原価の計算ができていない答案が多かったようです。
 3級レベルの精算表の作成は格別難しいものではありませんが、この種の問題により3級レベル全体の理解度の確認することができるという点では、学習上極めて重要な意味を有しています。3級の学習内容の理解の確認の点からも、また今後の学習の基礎となるという点からも、精算表の作成に関する理解をきちんとしておいてもらいたいと考えています。