出題の意図<3級>


[第1問]

 本問では、3級の出題範囲に含まれる基本的な事項について確認するための仕訳問題を出題しました。特に解答が困難な問題はなかったと思います。
 2では、源泉徴収していた所得税が預り金(負債)の性格を有していることを理解しておかなければなりません。
 また、4では、手形の割引が金融資産の売却として処理されていることに留意する必要があります。


[第2問]

 本問では、商品売買の記帳を分記法と三分法のそれぞれによった場合の違いについて問うています。分記法の記帳から取引を推定し、それを三分法によって処理した場合に記帳がどのようになるかを考えればよい問題です。特に、月初の商品棚卸高について、分記法の場合には、商品勘定に前月繰越として最初から記入されていますが、三分法の場合には、期末の決算整理手続において繰越商品勘定から仕入勘定に振り替えられる点に留意する必要があります。


[第3問]

 本問は、11月30日現在の残高試算表にもとづき、設問で与えられている12月中の取引を処理して、12月末時点の残高試算表と仕入先元帳における埼玉商店勘定と千葉商店勘定を作成するものです。出題の主眼は、期中に生じる取引を的確、かつ迅速に仕訳・転記して、これらの記録の正確性を試算表の作成を通じて確かめることができ、あわせて仕入債務の変動を捉えることができるか否かを問うことにあります。
 取引量は多少多めですが、いずれも基本的な取引ばかりなので、一つ一つの取引を注意深く処理していけば、解答を導くことができたはずです。ただ、設問中の取引の中には、先方負担の引取運賃を掛代金から差し引く取引や、値引、返品といった取引のように、売上債権や仕入債務の金額に影響を与える取引が随所に含まれているため、これらの取引を正確に処理していくことが求められています。これらの取引については、早合点やケアレスミスで失点している答案が散見されました。
 また、時間の制約からか、仕入先元帳に着手していない答案も数多く見られましたが、このタイプの設問はすでに過去に何度も出題されているため、繰り返し練習を積み、取引を正確に、かつスピーディーに処理する能力を身につけておく必要があります。特に、仕入先元帳の作成においては、買掛金の増減を総額で把握することに加えて、仕入先の人名勘定ごとに集計しておく習慣を身につけておくことが重要です。


[第4問]

 本問は、決算整理後の収益の勘定から損益勘定への振替仕訳と、開始記入後の再振替のための仕訳を問うものです。
 損益勘定への振替仕訳は、過去に類題が何度も出題されており、帳簿決算の基本中の基本であるため、かなりの正解を想定していましたが、結果は芳しくありませんでした。振替と振替仕訳の意味、振替仕訳を転記した後の結果等について、十分理解されていない答案が目立ちました。帳簿決算を理解するためには、振替仕訳の理解は不可欠です。そのため、なぜ振替を行うのか、振替仕訳とはどのような処理か、振替仕訳を転記した結果、収益・費用の諸勘定と損益勘定はどのようになっていなければならないかといった、基本事項を再度確認しておく必要があります。
 振替仕訳と同様のことが、再振替の仕訳についてもあてはまります。ただし、正答率については、再振替仕訳の方が圧倒的に低かったようです。再振替とそのための仕訳の意味、再振替のための仕訳を転記した後の結果等については、十分理解されていない答案が目立ちました。再振替は、前払費用・未払費用・前受収益・未収収益といった経過勘定すべてについて行われます。そのために、費用・収益の繰延処理および見越処理と一対の処理として理解しておく必要があります。


[第5問]

 本問は、決算修正事項とその他の修正事項にもとづいて、精算表を作成する問題で、精算表の作成に関する基本的な理解を問う問題です。問題に記した「決算修正事項その他」のうち、4.〜11.が決算修正事項であり、1.〜3.がその他の事項になります。
 本問の解答にあたっては、これらの事項に関する仕訳が正確にできることが必要です。取引に格別難しいものは含まれていないので、簿記の基礎をきちんと学習していれば、難なく解けたはずです。
 その他の事項は、現金過不足に関する取引、誤記入取引の修正、仮受金に関する取引です。誤記入取引に関しての修正は、差額のみを修正するのが解答としては一般的です。もし、これが理解しにくければ、当初の取引を貸借反対で記録し、当初記録された取引を消去し、新たに正しい取引を追加するという二段階の処理法で考えれば良いでしょう。決算修正事項として列挙されている項目は、売上原価の計算、貸倒引当金の計上、有価証券の評価替え、減価償却費の計上、損益の繰り延べと見越しといったように、すべての項目が精算表の作成問題でもっとも基本的なものとして取り上げられている事項です。これらの事項に関する修正仕訳を丹念に行っていけば、おのずと解答は得られるでしょう。
 精算表の問題は、3級の個別的な項目の学習の積み重ねを経た上での、3級の内容の総復習あるいは総まとめの意味を持つ重要な問題です。精算表の完全な理解は3級の学習にとって、そしてさらに上級の学習への準備として不可欠なものです。しかし、満点が予想外に少なかったことや、おおよその平均得点が6割程度であることからすると、必ずしも十分な学習がなされていないのではないかとの印象を受けます。今後の簿記の学習のためにも、精算表の学習は徹底的にしてもらいたいと思います。