[第1問]
本問では、通常どおり、基本的な仕訳についての理解を問う問題です。2および5の問題を除いては、ほぼ従来どおりの採点結果が得られたと思われます。
2において出題された所得税の処理については、店主が納付する所得税が企業自体の費用となるわけではないので、企業財産から所得税を支払った取引は店主による資本の引出しとして処理する点に留意する必要があります。また、5は、収益の諸勘定から損益勘定への振替えを問う問題であり、そのこと自体は4級の出題範囲の問題です。しかしながら、過去の出題実績が乏しいこともあってか、5の問題に対する正答率は、著しく低かったようです。
[第2問]
本問は、買掛金勘定と買掛金元帳の記入方法の理解度を問う問題です。買掛金勘定の明細を把握するために、補助簿として買掛金元帳を設けた場合、買掛金に関する取引は買掛金勘定に転記するとともに、買掛金元帳で仕入先ごとに設けた口座(人名勘定)にも転記しなければなりません。
買掛金勘定には、買掛金に関する取引を一括して転記しますが、買掛金元帳では仕入先ごとの人名勘定に転記するために、買掛金勘定の残高と個々の人名勘定の残高は必ずしも一致しません。ただ、買掛金に関する取引は、買掛金勘定と買掛金元帳の2カ所に転記するため、買掛金勘定の残高は買掛金元帳の残高合計と一致しなければなりません。この関係から、買掛金勘定は統制勘定と呼ばれています。
以上のような買掛金勘定と買掛金元帳への記入方法が理解できていれば、あとは買掛金勘定と買掛金元帳で示されている日付をもとに、カッコ内の金額が容易に推定できるはずです。
[第3問]
本問は、5月25日現在の合計試算表に、問題で与えられている5月中の取引を処理して、5月末時点の合計残高試算表と売掛金明細表・買掛金明細表を作成させる問題です。その出題の意図は、期中に生じる取引を的確かつ迅速に仕訳・転記して、これらの記録の正確性を試算表の作成を通じて確かめることができ、あわせて売上債権・仕入債務の変動を捉えることができるか否かを問うことにあります。どれも基本的な取引ばかりなので、日付順に注意深く処理していけば、解答を導くことはさほど困難ではないはずです。
解答にあたって注意しなければならない点としては、売掛金・買掛金の増減を総額で把握することに加えて、得意先および仕入先の人名勘定ごとに集計しておくこと、商品売買代金の決済に関する手形取引の処理、商品売買取引以外から生じる債権・債務の処理などです。
合計残高試算表を完成した後に、売掛金明細表と買掛金明細表を作成しますが、5月25日現在の宮崎商店の売掛金の残高は、答案用紙の売掛金勘定の残高から、また、同日の旭川商店の買掛金の残高は、同じく答案用紙の買掛金勘定の残高から、それぞれ推定します。そして5月26日から31日までの売掛金・買掛金の増減を人名勘定ごとに集計します。最後に、得意先・仕入先の人名勘定残高の合計と、売掛金・買掛金勘定の残高がそれぞれ一致していることも忘れずに確認してください。
[第4問]
本問は、現金過不足勘定および引出金勘定に関する決算整理の理解度を問う問題です。
現金勘定の残高と手許有高が一致しない場合は、一時的に現金過不足勘定で処理しておき、原因が判明した場合、現金過不足勘定の残高を適切な勘定に振り替えます。ただ、この現金過不足勘定は、仮勘定であるため、決算になっても原因が明らかにならない場合は、不足額は雑損勘定へ、過剰額は雑益勘定に振り替えなければなりません。期中に資本の引出しについて引出金勘定を設けて処理している場合も、引出金勘定の残高を決算整理で資本金勘定へ振り替えなければなりません。
本問では、現金勘定の残高と手許有高が一致しない原因として2つが判明しているので、まず現金過不足勘定の残高を適切な勘定へ振り替える必要があります。引出金の誤記入分については、引出金勘定へ振り替え、電話代の記入漏れについては、店の負担分を通信費勘定へ、店主負担分を引出金勘定へ、それぞれ振り替えます。それでもなお、現金過不足勘定には、不足額が残るので、雑損勘定へ振り替えます。また、引出金勘定についても、誤記入と記入漏れの分を加えたあとの残高を資本金勘定へ振り替えます。
[第5問]
本問は、期末整理事項等に基づく修正記入欄の記入、試算表と修正記入欄の記録に基づく損益計算書欄および貸借対照表欄の完成といった8桁精算表の作成について基本的な理解を問う問題です。
精算表を完成させる上でポイントとなったのは、期末整理事項等において売掛金に修正が加わるため、それらの修正を貸倒引当金の設定に適切に反映させることができるか否か、新たに購入した備品の減価償却の処理において月割計算が適切にできるか否か、収益と費用の繰延と見越が正確に行われているか否か、などといった点でしょう。特に、受取家賃の繰延の処理では、再振替について十分理解できているかどうかが、解答にあたって鍵となっています。