3 級

[第1問]

 商品売買取引を営んでいる企業において生じうる基本的な取引を示し、これらの取引が、企業の資産・負債・資本・収益・費用に与える影響を仕訳によって、適切に示すことができるかどうかを問うた問題です。
  1. 商品を仕入れ、その代金を小切手を振り出して支払うという取引に、商品の引取り時における引取運賃の支払いという取引を含めた問題です。当座預金の残高を超えた金額は、債務の発生として当座借越勘定の貸方に記入します。なお、引取運賃は、商品の仕入原価に加算するので仕入勘定の借方に記入しますが、発送費勘定で処理している誤答が多かったようです。

  2. 減価償却有形固定資産の売却という取引に、売却代金の受取りという取引を含めた問題です。売却時における売却価額と小型自動車の帳簿価額(取得原価−減価償却累計額)との差額は、固定資産売却損勘定の借方に記入します。なお、月末に受け取ることにした売却代金は、債権の発生として未収金勘定の借方に記入します。
    (注) 残存価額      ¥1,000,000×(1−0.1)=¥900,000
        減価償却累計額   ¥ 900,000÷4×3=¥675,000
       固定資産売却損とするべきところを固定資産売却益としたり、車両運搬具減価償却累計額とするべきところを減価償却累計額としている答案が目立ちました。

  3. 月末に、会計係が小口現金係から小口現金の支払高の報告を受けたときの会計 処理についての問題です。定額資金前渡法を採用しているので、支払額と同額の小切手(¥51,800)を振り出して小口現金係りに渡します。
    本問では、指定されていない小口現金勘定や当座勘定を使用したり、貸借逆に仕訳を行った答案が目につきました。

  4. 商品を売り渡し、その代金は内金を差し引き、残額は得意先振出しの約束手形 で受け取ったという取引に、商品の発送時における発送諸費用の支払いという取引を含めた問題です。差し引いた内金は債務の消滅とし前受金勘定の借方に記入し、得意先振出しの約束手形を受け取った時は、手形債権の発生として受取手形勘定の借方に記入します。なお、当店負担の発送諸費用は、発送費勘定の借方に記入します。
    本問では、支払手形勘定の使用や、前受金と前払金とを混同している答案が多かったようです。

  5. 当期の純損益を資本金勘定に振り替えるための会計処理についての問題です。 期中に発生した収益の額は、決算の時に損益勘定の貸方に、費用の額は、損益勘定の借方にそれぞれ振り替えられます。損益勘定の貸方合計金額(収益総額)と借方合計金額(費用総額)との差額が、貸方残高(\30,000)になるので当期純利益となります。当期純利益は資本の増加となるので、損益勘定から資本金勘定の貸方に振り替えます。
    本問でも、貸借逆の仕訳や、勘定科目は合っているが金額の桁を間違えている答案が目につきました。
[第2問]

 示された各取引について、どの補助簿に記入するかを問うた問題です。したがって、各取引についての仕訳を示し、その仕訳につけられた勘定科目名と同じ名のついた補助簿の欄に○印を記入すると同時に、仕入に関する取引と売上に関する取引(売上値引取引を除く)については、商品有高帳にも記入することを理解していることが大切です。

イ. 北海道商店から裏書譲渡された、東北商店振出し、北海道商店あての約束手形は、手形債権の発生となるので、受取手形記入帳に記入します。本問では、商品有高帳にも記入しなければならないことを見落としている受験者がとても目立ちました。

ロ. 買掛金支払いのため、売掛金のある中国商店あての為替手形を振り出し、得意先商店の引受けを得た時は、売掛金の消滅として売掛金元帳にも記入します。本問では、支払手形記入帳や受取手形記入帳に○をつける誤答が多かったようです。

ハ. 仕入代金支払いのために振り出した約束手形によって、手形債務が発生するので支払手形記入帳にも記入します。本問でも、商品有高帳への記入の見落としや、売掛金元帳に○をつける誤答が見受けられました。

ニ. 他店振出しの小切手を受け取った時は、現金の増加として処理するので現金出納帳にも記入しますが、受取手形記入帳に○をつけたり、現金出納帳に記入するのを見落とした答案も多かったようです。また、各取引に1カ所しか○をつけない受験者も見受けられました。

[第3問]

 本問は、補助記入帳に記載されている取引内容を推定して、試算表を作成する問題です。現金取引、当座取引、売上取引および仕入取引がそれぞれ補助記入帳にまとめられているので、たとえば、現金と当座預金の増減は、現金出納帳と当座預金出納帳の収入と支出の欄に記入されている金額を集計するだけで簡単に求めることができます。一方で、複数の補助記入帳に重複して記入されている取引がありますので、これらの取引を二重に計算してしまわないように、配慮する必要があります。
 解き方としては、日付順に仕訳をしたり、勘定に転記してみる方法が考えられます。その他にも、補助記入帳から直接に勘定へ転記する方法が考えられますが、この方法による場合は、上記のとおり二重に転記しないように留意しなければなりません。
 また、得意先および仕入先の人名勘定ごとに集計する作業も必要となります。最後に、得意先(または仕入先)の人名勘定残高の合計と売掛金(または買掛金)勘定の残高が一致していることを確認しておくことが重要です。

[第4問]

 本問は、売上取引および仕入取引に関する伝票記入の問題です。これまでの出題パターンとそれほど変わりがないので、起票に関する練習を積んでいれば比較的容易に解答を導くことがでます。
 この種の問題は、まず取引を仕訳して、そのうえで仕訳をどのように分解して伝票に記入すればよいかを考えるとよいのです。(1)については、販売取引を掛取引と手形取引に分解して仕訳します。また、(2)については、掛けで全額仕入れたものとして仕訳してから、買掛金の代金の一部について約束手形を振り出して決済したと考えて仕訳をします。

[第5問]

 本問は、期末整理事項に基づく修正記入欄の記入、試算表と修正記入欄の記録に基づく損益計算書欄および貸借対照表欄の完成といった8桁精算表の作成に関する基本理解を問うた標準的な問題です。
 精算表を完成させる上でポイントとなったのは、期末整理事項において売掛金や受取手形の残高に修正が加わる場合に、それらの修正を貸倒引当金の設定に適切に反映させることができるか否かという点と、建物の減価償却の処理において月割計算が適切にできるか否かといった点です。また、前受家賃の処理にもミスが目立ちました。
 今回に限ったことではありませんが、内容自体は理解しているように見受けられるものの、不注意による桁の間違いや、誤字・脱字によって失点する答案が最近目立つようになってきています。このようなミスによる失点を避けるためには、金額については3桁ごとにカンマで区切る習慣や、勘定科目名を省略せずに正確に記入する習慣を普段から身につけておく必要があります。


「第105回簿記検定試験問題の出題の意図」
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